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「こんなところにいる女性は一生独りだ」「全員処女らしい」… 女性専用アパートのカフェに“資金だけ出す”男性に、柚木麻子が感じた“いい加減”さ

柚木麻子さんインタビュー#1

2022/04/08

source : 文藝出版局

genre : エンタメ, 読書, 社会, ライフスタイル, SDGs

 読めばきっと元気になる。当代切ってのストーリーテラー、柚木麻子さんの新作が上梓された。短編小説集『ついでにジェントルメン』。魅惑的だけどにわかに意味がつかめぬ不思議なタイトルのもと、いったいどんなストーリーが束ねられているのか。

菊池寛の銅像が話しかけてきた

「すみません、しゃべってます? 私にしゃべりかけてます?」

「うん!」 恐る恐る質問すると、急に日が翳り、銅像からゆるやかに光が去った。

 チョコレート色の唇がすぼまり、目がくるっと動いたのがわかった。(「Come Come Kan‼︎」)

 計7編が収載されている『ついでにジェントルメン』は、「Come Come Kan‼︎」と題された作品で幕を開ける。

 主人公の原嶋覚子(はらじま・さめこ)25歳は、短編小説「そうめんデッドコースター」で文藝春秋の文芸誌「オール讀物」新人賞をとった、駆け出し小説家。

 しかし受賞はすでに3年前のこと。その後はなかなか芽が出ず、次作を書き直すこと11回。文藝春秋社のラウンジに頻々と通うが、ダメ出し続きで落ち込むばかり。

柚木麻子さん

 その日もラウンジで落ち込んでいると、文藝春秋の創設者・菊池寛の銅像が話しかけてきた……。

 ラウンジも菊池寛の銅像も、文藝春秋社内に実在する。新人作家の悩み具合や編集者の対応も妙にリアルだ。どのように発想し、話を紡いでいったのか。