4月8日(金)に最終回を迎えるNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」(総合、月~土曜午前8時ほか)。4月4日(月)放送の冒頭では、喫茶店「ディッパーマウス・ブルース」で、るい(深津絵里)がコーヒーを淹れ、大月錠一郎(オダギリジョー)がピアノの弾いている場面が映し出され、話題を呼んでいる。
安子編ではその「ディッパーマウス・ブルース」店主・定一を演じ、ひなた編では定一の息子・健一として再登場した世良公則(66)が「週刊文春」の取材に応じ、朝ドラ出演の反響や共演者とのやり取りなど、撮影の舞台裏を明かした(全2回の2回目、前編より続く)。
世良は1955年12月14日生まれ、広島県福山市出身。ロックバンド「世良公則&ツイスト」として、「あんたのバラード」「燃えろいい女」など数多くのヒット曲を生み出した。以後、ソロアーティストとして活動。近年国内外のミュージシャンとのセッションを精力的に行っている。一方で、1998年公開の映画「カンゾー先生」で2度目の日本アカデミー賞助演男優賞を受賞するなど、俳優としての評価も高い。3月30日には世良が歌う「On the Sunny Side of the Street」が配信された。
いろんな憶測が生まれた定一さんのラストシーン
――定一さんのラストシーンは?
「ディッパーマウス・ブルースで定一が一人でいるときに、息子の健一(前野朋哉)が店へ入ってくるシーンが最後でしたね。健一が戦争から帰ってきたのか、それとも幻なのか、わからないような演出をされていた。僕としては、健一が生きて帰ってきたという芝居をしているんですが、演出や編集の具合で、本当か幻か、わからないようになっています。当時、あれを見ていろんな憶測が生まれていましたね。すごくミステリアスに終わることができたなと思っているので、正直、もう一度出るとは思っていませんでした(笑)」
――ひなた編で、年老いた息子の健一として、再出演することが判明したのはいつですか?
「定一として、最後のシーンを撮ってクランクアップした時、前野さんと一緒に『お疲れ様でした』と盛大に送り出していただいたんです。ところが、るい編に入ってしばらく経ってから、健一で出演することがわかりました。ただ、僕は、るい編の台本の流れを聞いていなかったので、以降は、イチ視聴者としてるい編を楽しみに見ていましたね」
――ひなた編では、世良さんが健一、前野さんが健一の孫・慎一、という役柄でした。
「健一を演じるときは、前野さんをお手本にしてやっていました。ちょっとした笑い方、手の使い方、肩を丸めるような仕草とか、息子の健一を演じていた前野さんを見て学んでいたので。目に焼き付いている記憶の中にある健一をやらせてもらったという印象ですね(笑)。前野さんから『健一はそうじゃないんですよね』って言われることもなかったし、やりやすかったです」
――戦災孤児のジョーに食事をさせて音楽を教えたのが、定一でした。今度は健一として、オダギリさんと共演された感想はいかがでしたか?
「オダギリさんと現場でお会いしたときにソファーに座りながら、『初対面なのに、初対面の感じがしませんよね(笑)? 本当になぜか懐かしいようなくすぐったいような感覚ですね』と、どちらからともなくそんな話をしていましたね。当たり前のことなんですけど、お互いそれぞれの役柄にしっかり入っていた。現場では、健一と錠一郎が、そこにいればOKって感じの空気でした。何か相談したり、苦心することなく、何の違和感もなかったですね」