ナショナル・フットボールリーグ(NFL)のチアリーダー、山口紗貴子さんは今年、42歳でNFLの優勝決定戦・スーパーボウルの舞台に立った。

 山口さんがチアを目指しはじめたのは35歳。日本人最年長となる39歳で世界最高峰のチアになった道のりと、「選手と交際したら即クビ」という厳しいチアの世界の内実を聞いた。(全2回の2回目/前編を読む

山口紗貴子さん(本人提供)

就労ビザがなくて入団できない事態に

――2017年、4年目の挑戦で現在所属するベンガルズからオファーがあったそうですが、チームに入れない事態が起きたそうですね。

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山口紗貴子さん(以降、山口) 就労ビザの関係で入団できなかったんです。それまでに受けたさまざまなオーディションでの失敗を修正して臨んだ最後のチームが、ベンガルズでした。

 おかげですごく評価してもらえて「採ってあげたい」と言ってもらえたのですが、その時点で就労ビザがないとどうしても入団できないということで、泣く泣く帰国したんです。

――では翌年のオーディションの際にはビザを取得した状態で臨んだということでしょうか。

山口 そうです。4度目の挑戦の前に会社には辞表を出していたので、2017年のオーディションは背水の陣で臨んでいました。そこでビザの問題が立ちはだかってダメだったわけですけど、私の場合、「O-1ビザ」という芸術やスポーツ分野で功績のある人が対象となるビザを取らなくてはいけなかったんです。

 でもチアはチームでパフォーマンスをするものなので、私「個人」の業績を証明するのが難しくて、再び壁が立ちはだかりました。

――俳優やスポーツ選手と違って、チアはチームの活躍を見るものですもんね。

山口 しかも当時は移民に対して厳しい措置をとっていたトランプ政権下だったこともあり、余計に審査基準が厳しかったんです。

 具体的には、自分がその分野で実績のある著名人であることを証明するために最低8つ、新聞やテレビといったメディアに取り上げられているのが望ましい、と弁護士からのアドバイスがありました。