ナショナル・フットボールリーグ(NFL)のチアリーダー、山口紗貴子さんは今年、42歳でNFLの優勝決定戦・スーパーボウルの舞台に立った。
山口さんがNFLチアを目指しはじめたのは35歳。それまで会社員とチア活動を並行して「チアリーマン」生活をしていた彼女が、「日本人らしさを消して」世界の舞台に挑み続けた日々を聞いた。(全2回の1回目/続きを読む)
何もかもが最大規模の「夢の舞台」スーパーボウルへ
――山口さんは今年2月、「ベンガルズ」のチアリーダーとしてスーパーボウルの舞台に立ったんですよね。アメリカ人にとっては「紅白」のような国民的イベントだと聞きました。
山口紗貴子さん(以降、山口) 観客は7万人、平均視聴者数は1億人以上。大勢の警備員やスタッフ、何もかもが最大規模で、夢の舞台に自分が立っていることが信じられなかったです。チアの目の前には、フィールドと同じ高さで試合を見られるVIPシートがあるんですが、ジャスティン・ビーバーをはじめとしたセレブが集結していて。本当に夢のようでした。
38歳で、仕事を捨てて渡米
――山口さんはもともと会社員をされていたそうですが、日本での生活を捨ててアメリカでチアになったということでしょうか。
山口 38歳のとき、会社を辞めて渡米しました。父は大反対。仕事を捨てて貯金も使って、本当にNFLのチアになれるかもわからないのに……たしかに自分でも狂ってるなと思います(笑)。
――凄まじいチアへの情熱です。チア歴は長いんですか。
山口 始めたのは大学からですが、私がやっていたのは技を競い合う、競技の「チアダンス」の方で、選手を応援する方のチアは正直、あんまり知らなかったんです。
社会人になった後もチームに所属してチアリーディングを続けていましたが、周りは高校を卒業したばかりの若い子ばかりで、動きはキレキレ。身体能力が違いすぎる子たちの間でがんばるのがしんどくなってた頃、アメフト社会人チーム「オービックシーガルズ」に出会った。チアリーダーたちの楽しそうな様子に魅了されて、チームに加わりました。