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東日本大震災での住民の避難誘導
――作中では日本も同様の政治的な事情があったのでしょうか?
砂川 私が自衛隊の演習で引っかかっていたのが、すごいスムーズな事です。色々段階があって、A国とB国とこういう政治状況があって、こういう風にステップ踏んできました、防衛出動が下命されました、対処しました、撃退しましたと。そこで状況終了するんですけど、「まあ、ここまでうまくいかんだろ」って(笑)。
東日本大震災の時も避難しなきゃいけない地域がありましたけど、避難しなかった人たちもいて、そうした人たちをどう避難させるか問題になったことが実際にありました。国民保護もそうですけど、実際にクッキリ区分なんかできないし、実際ああいう事態になったら、やらなきゃいけないタスクが増えてくると思うんです。米軍だったらマンパワーがあるけど、自衛隊は人員も充足率も低いんで、同じ部隊にいろんなことをやらせるんだろうなと、なんとなく現場もそう思っているところがありました。その辺を創作込みで、防御準備している部隊がいろいろやらされている状況は入れました。
――『小隊』の冒頭も、住民の避難誘導でしたね。
砂川 本来だったら自衛隊はやらないんですけど(注:国民保護計画では住民避難は都道府県・自治体の担当)、絶対やらされるだろうなとは現場は常々思っていることです。警察や行政マンも市民・文民になるんで、ああいう状況になった時にどこまで残っているかは不透明ですよね。そうなったら自衛隊にやらせましょう、となる可能性が高いんじゃないかと。