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〈芥川賞受賞〉「エッセンシャルワーカーを ”保護する”というニュアンスに違和感があって…」 砂川文次が『ブラックボックス』に書き込んだ“怒り”のパワー

砂川文次さんインタビュー

2022/01/21

上の子はポケモンに夢中で、見向きもしてもらえなかった……

 1月19日の夕刻、帝国ホテルに設けられた記者会見場。

『ブラックボックス』で第166回芥川龍之介賞を得た砂川文次さんは、長身痩躯を白いシャツに包んで壇上の金屏風前に立った。

 かくも爽やかな人だったかと驚いた。

砂川文次さん 180センチの長身だ(写真提供:日本文学振興会)

 というのも砂川さん、これまでは姿かたちを現さない、いわゆる「覆面作家」で通してきたから。

 2016年に『市街戦』で第121回文學界新人賞を受賞してデビュー。2018年に『戦場のレビヤタン』で、2020年には『小隊』で芥川賞候補になるなど文学の世界を駆け上がる過程では、平穏な環境確保を優先し、執筆と生活に集中してきたのだ。

 このたびの受賞を機に、顔出しに踏み切ることとなった。

 会見場での第一声は、

「正直、何もよくわからないままここへ来てしまって、困ってます」

 というものだった。言葉が会場の隅々にまで、大きく響き渡る。よく鍛えられた発声だと感じさせたが、それもそのはず。砂川さんは陸上自衛隊所属の元自衛官である。