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司馬遼太郎の『坂の上の雲』を読んでいたらしっくりきた

――自衛官を志したのもそういう理由からですか?

砂川 男の子って、警察官や消防士になりたいって思うことありますよね。そういう選択肢の中に自衛隊があっただけです。単純に格好良さです。

――以前のインタビューで「労働階級出身で、家も学もないので、軍人か官僚か文士を目指すしかなかった」と仰っていたので、なんか深い話があるのかと思っていました。

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砂川 あれはもっとポップだったんですよ(笑)。ギャグみたいな感じで言ったのが、すごい書かれ方に……。自分の進路を決めるときに、司馬遼太郎の『坂の上の雲』(文春文庫)を読んでいたから、なんとなくしっくりきたんです。うちもカネがある方じゃないから軍隊入って学と体力つけて飯食わせてもらおうとか、文士になって一発当てるかとか、官僚になるとか。

©文藝春秋/杉山秀樹

――芥川賞を受賞した『ブラックボックス』は、主人公は元自衛官でしたが、戦争文学ではありませんでしたね。今後はどういった作品を執筆されるのでしょうか。

砂川 書く前に思っていることと、書き上がった内容がぜんぜん違う事が大半なので、長さ以外に書く前に言えることってないですね(笑)。今は『小隊』とゆるやかに繋がっているものを書いています。

小隊 (文春文庫)

砂川 文次

文藝春秋

2022年5月10日 発売