文春オンライン

2022/05/24

盗難車両が国内で流通している可能性も

 上述のように、盗難車両は基本的に海外へと行方を眩ませてしまう。しかしなかには、日本でそのまま別の車検証を取得し、流通させているケースもあるのだという。なぜそのようなことが可能なのか。

「一昨年くらいに、一度盗難に遭ったレクサスのLX570が車体番号を打ち替えて日本で普通に売られていた、という事件がありました。もちろん、すでに国内で登録されている番号は使えないわけですが、その車を盗んだグループは以前マレーシアに輸出されたLXの車体番号を使ったんです。国外に出ている番号を打ち込んで、『この車は1回マレーシアから戻したんですよ』と日本の政府に申告すると、ちゃんと日本の車検証が出てきてしまったんですね」

 窃盗グループはあらかじめ国外に出ているLXの車体番号を把握しており、それを盗んだ車に打ち込み、虚偽の再輸入申請を行ったのだ。

「なぜそれが発覚したのかといえば、一般の個人からそのLXを買い取った中古車ディーラーが、たまたまそれをマレーシアに送ろうとしたんですね。その際マレーシア政府から『その車体番号のLXはすでにマレーシアにある』と言われて、そこでようやくおかしいことに気がついたんです」

 つまり、たまたま中古車ディーラーがマレーシアに輸出しようとしたために盗難車であることが発覚したが、日本でそのまま流通している分にはバレることがなかったのだ。車は「盗まれたら戻ってこない」と言われるが、そこには窃盗グループの間で流通ルートや偽装工作の手法が確立されていることが背景にあると考えられる。