記事を書いた人物に対して、頭ごなしに「義務教育レベル以下」「小学校からやり直せ」「テストなら0点」「採点する気にもならない」など、あたかも自分が学校教師であるかのような言い回しをしているコメントがほぼ一定割合で必ず存在します。
日本の学校教育は抑圧的
日本ではペーパー試験の点数で完璧に順位が付けられてしまいますから、原則として相対評価となり、必然的に成績が上位だった人は限られてきます。割合としてはごくわずかしかいないはずの、かつての成績上位者だけが、ネットのコメント欄で暴言を吐いているとは思えませんから(中にはそのような人もいるでしょうが)、「テストなら0点」とバッシングしている人の中には、子ども時代、それほど勉強ができなかった人も多数、含まれている可能性が高いのではないでしょうか。
そのような人たちまでが、教師のような口調で、相手を「バカだ」「点数が悪い」と罵っているというのは異様な光景です。これは日本の教育環境がある種のトラウマになっている可能性を示唆する現象だと筆者は捉えていますが、こうした環境は当然のことながら学校内にとどまるものではありません。
日本の学校教育は、社会人になるための予備校のような存在であるとも言えます。こうした抑圧的なカルチャーは企業社会でより顕著になっていきますから、学校で抑圧的に教育しておかないと、企業に入ってから耐えられなくなるからです。
実際、世界22カ国のビジネスパーソンを対象とした調査では、仕事に対する自信が22カ国中もっとも低いという結果が出ています。
ビジネス向け交流サイトを運営する米リンクトインは、世界22カ国のビジネスパーソンに対して、個人的な経済状況や仕事のチャンス、成功に対する自信などについてアンケート調査を行いましたが、日本は22カ国中もっとも順位が低いという結果が得られました。
一般的に経済成長が著しい国ほどビジネスパーソンはポジティブになりますから、1位がインド、2位がインドネシア、3位が中国になったことは想定の範囲内といってよいでしょう。いわゆる先進諸外国の順位は相対的に低いのですが、その中でも日本の順位は最下位で、しかも次点との差が極めて大きいという特徴が見られます。
順位だけでなく、仕事に対する基本的な価値観について他国との隔たりを示す回答も多く、日本社会の特殊性がよく表れています。
例えば、経済的に成功する要因として、「一生懸命働く」というのが1位になっているのは日本も諸外国も同じですが、それ以外はだいぶ様子が異なります。