昨年10月、品川駅のコンコースに表示された「今日の仕事は楽しみですか」という広告が、SNSで「仕事が楽しいわけないだろ」「広告を見て傷ついた」といった批判を呼び、広告主が謝罪し広告を取り下げるという騒動がありました。
この騒動に象徴されるように、日本人は仕事を楽しんでいません。各種の国際比較調査からも、日本人は「大嫌いな仕事を真面目に黙々とこなしている」ことが明らかになっています。
そうした事実が有名になる一方で、「なぜ日本人は仕事を楽しんでいないのか?」という理由ははっきりしないのではないでしょうか。今回は、筆者の調査を踏まえて、この疑問について考えてみましょう。
「仕事が楽しい」は少数派
昨年の品川の件があってから、筆者はこの問題に関心を持ち、講師を担当する企業研修やセミナーなどの場で、受講者に仕事の楽しさについてヒアリングしてきました。
242人(大半が20代後半から40代の会社員)に「仕事が楽しいですか?」と質問しました。実際には「楽しいこともあれば、楽しくないこともある」が多数派でしょうが、「楽しい」「楽しくない」のどちらかを選んでもらっています。回答は以下の通りでした。
<対象:242名の会社員>
楽しい:87人(36%)
楽しくない:155人(64%)
やはり「仕事が楽しい」は少数派でした。なお、年齢・性別・企業規模による明確な差はありませんでした。職種では「楽しい」という回答は研究開発・企画部門で多く、営業・管理部門で少なかった印象です。
代表的・特徴的なコメントを紹介しましょう。まず、少数派の「楽しい」という回答者から。
「子供の頃から図画工作の授業やプラモデル作りが好きで、いまのモノづくりの仕事を楽しんでいます。製品の企画・改良に取り組んでいると、あっという間に深夜になっているということがよくあります。好きなことをやっているので、徹夜になってもまったく苦になりません」(機械)
「新商品の企画を担当しています。まだ大きな成果を出せているわけではなく、苦労の連続ですが、新製品で消費者が喜び、世の中を変えることができると思うと、かなりワクワクします」(消費財)