「仕事が楽しくない状況」は今後も続く?
では、今後はどうなるでしょうか。
2つ目の「後ろ向きな仕事が多いこと」と3つ目の「職場環境の悪化」は、近年の日本企業の国際競争力の低下によるところが大きく、簡単には改善しそうにありません。
一方、1つ目のミスマッチは、日本でも広がりつつあるジョブ型雇用に転換することで、大いに改善すると期待されています。
アメリカなど多くの国で一般的なジョブ型雇用では、企業はあらかじめ職務内容を明確に定めて人員を募集・採用します。したがって、ジョブ型雇用では、原理的に「入社後に、希望しない仕事を担当することになった」ということはありません。
ただ、ジョブ型雇用になればミスマッチが解消されるかというと、注意が必要です。4年前にジョブ型雇用に転換した素材メーカーの人事部門責任者は、次のような2つのコメントをしています。
「ジョブ型にしたことで、職務の範囲が明確になりました。ただ、各部門の業務量のバランスがあり、基本的にはそれまでの職務を引き続き担当してもらっています。また、日本では、業績が悪化しても社員を解雇しないように、社内の配置転換で対応しています。ジョブ型と言っても、各社員が好きな仕事を担当できるようになったわけではありません」
「新卒の採用でも、できるだけ入社後の担当業務を明示し、本人の希望をかなえるようにしています。しかし、さすがに未経験・未知数の新人の希望を全面的に受け入れるわけにはいきません。新人のミスマッチは、依然として大きな問題です」
将来、アメリカのように「中途採用主体で必要な人材を必要な時に必要な数だけ採用する」「担当する職務がなくなったら従業員を解雇できる」ようになったら、日本でもミスマッチはなくなります。しかし、新卒一括採用の慣行や解雇規制が残っている限り、ミスマッチは簡単にはなくなりません。
こうしてみると、日本人の「仕事が楽しくない」という残念な状態は、今後も続くと予想されるのです。