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くもりや雨の日にひどい頭痛、学校を休むと「サボり」といじめられた…ほかの人にはわかってもらえない気象病の“困難すぎる実態”

『1万人を治療した天気痛ドクターが教える「天気が悪いと調子が悪い」を自分で治す本』より #1

2022/04/24
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気象病の原因は?

 天気の要素には、日照時間や降水量、風速などさまざまなものがありますが、体に大きな影響を与える要素としては「気圧」 「気温」 「湿度」の3つを挙げることができます。

 気温や湿度が体に影響を与えることは昔から知られており、研究も進められてきましたが、気圧については近年までほとんど意識が向けられてきませんでした。気温や湿度の高低は誰もが敏感に感じ取ることができますが、気圧の変化は感じることができないと考えられていたからです。

 気圧の変化によって生じるおもな初期症状は、めまい、倦怠感、眠気などで、その後に頭痛などの痛みに襲われるのが特徴です。気圧が下がっていくときのほうが症状は顕著ですが、上昇するタイミングで痛みが強くなるケースも珍しくありません。

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 すなわち、天気が崩れはじめるときも、逆に天気が回復に向かうときも、気象病の症状は出やすくなるということです。

 気温については、昔から体調との関係性をテーマにした研究が重ねられてきて、その成果が「熱中症情報」などに利用されています。重度の熱中症になると、頭痛、めまい、吐き気といった症状を引き起こすことはよく知られていますので、みなさんも相関関係を容易にイメージできるのではないでしょうか。

 逆に、気温が下がると痛みがひどくなる人もおり、 「温度不耐性」という病態にある人は、寒いときほど痛みが増す傾向にあるため、気温の下降に敏感です。

 気象病持ちにとっては、暑い場合も寒い場合も、大きな気温の変化は歓迎できるものではありません。

 湿度についても、気温と同様に研究が進んでおり、人の皮膚に湿度を感じるセンサーが備わっていることなど、さまざまな事実が解明されています。

 湿度の場合、低いときよりも高いときに痛みが出やすくなることがわかっており、とくに関節リウマチの患者さんは、じめじめした梅雨時に症状が悪化することが多いです。また、同じ気温でも湿度の高い日のほうが熱中症になりやすいことも報告されています。

  「気圧」 「気温」 「湿度」という気象病の三大気象要素のいずれかが変化することによって、体のどこかに症状が現れるということを頭に入れておきましょう。