文春オンライン

2022/05/25

source : ノンフィクション出版

genre : ニュース, 社会, 読書

走り出す山口組傘下組織

 前出の警察庁幹部が指摘していた高山の「武力」は、刑務所からの出所という出来事をきっかけとして、各地の山口組傘下組織によって神戸山口組系幹部を襲撃する事件が続発していることに表れている。それも警察庁幹部が指摘していたように、ただ闇雲に相手に対して暴力を行使するのではなく、戦略に基づき要所を突く形となっていることが窺える。

 警察庁幹部は、次のように指摘していた。

「高山が(刑務所から)出てくるというだけで、事件が起きて何人も殺害されている。動機はどうあれ高山が出所することで、(山口組傘下の)各組織が自らの力を誇示するように神戸山口組側の幹部に攻勢をかけている。とにかく動きが加速している」

 首都圏に拠点を構える指定暴力団の古参幹部は、こう強調する。

「ヤクザというのは、親分の表情を見て何を考えているか察して、先回りして動くもの。親分が『あいつを殺せ』などと言うわけがない。そのような指示を出していたら、後々に警察の捜査が進んでしまった場合に殺人容疑の共犯となってしまう。絶対にあるわけがない」

 各地で6代目山口組の傘下組織が高山の意向を踏まえ、指示がなくとも走り出しているのは、こうした暗黙の了解があるからなのか。

 警察庁幹部がさらに智謀を巡らせた動きについても指摘する。

「ただ粗暴な手段で対立組織を攻撃するだけでない。対立組織に分断工作を仕掛け弱体化させることもある。ナンバー2、3クラスの幹部に接近して、後ろ盾となってやる。それでトップに揺さぶりをかけるなど、やり方は様々だ。『戦わずして勝つ』という巧緻に長けた動きも窺える」