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「高山が出てくるというだけで、何人も殺害されている」対立抗争の“潮目を変える”6代目山口組若頭の恐るべき影響力

『山口組分裂の真相』より #1

2022/05/25

source : ノンフィクション出版

genre : ニュース, 社会, 読書

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 警察庁の組織犯罪対策部は、全国から集められた情報を収集し分析している。その結果、警察庁で組織犯罪対策を担当している多くの幹部は、「高山が絵を描いている(計画立案している)、あるいは高山の意をくんで、(傘下組織が)動いている」とみている。

 高山が出所したことで、戦国武将が戦陣で一番槍を競うように、6代目山口組の傘下組織が対立抗争事件へと駆り立てられるように動き出したことが見て取れる。6代目山口組の分裂騒動の帰趨(きすう)は、高山の動向によって決められていると言ってもいい。

 高山は分裂1年前の2014年6月から服役していたが、前出の警察庁幹部はその絶大な影響力について強調する。

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「山健組、池田組という、神戸(山口組)側の傘下組織のうちでも中核組織を狙って、ピンポイントで攻撃を繰り返している。それで神戸(山口組)側の内部の瓦解、離反を狙ったはずだ。もちろん、高山が刑務所から指示を出していたとか、出所後に自ら直接命令したということは ないだろうが……。

 しかし、出所後に事件を起こした傘下組織には、事前に高山が激励のために訪れているという情報がある。高山がどういったことを考えているかということを理解して、傘下組織が実行したのだろう。手柄を立てれば傘下組織は自らの力の誇示になる。ただ、刑事事件として(高山と)実行犯らとの共謀関係の立証は困難というか、実際には無理なことなのだが……」

知力と武力

「知力と武力を兼ね備えた男だ」

 警察庁幹部に高山の人物像を訊ねると、こう答えた。

「知力」というのは信賞必罰を旨とした組織運営に長けていることがまず挙げられる。そして、組織の維持・拡大のために必要なシノギ(資金獲得活動)にも秀でているということだ。