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ある女子大生が後輩の家で見た“かぞく”の怪異 「これ以上、この家に居たくなかった …」

ある女子大生が後輩の家で見た“かぞく”の怪異 「これ以上、この家に居たくなかった …」

かぞくの家#3

2022/05/01
note

全く知らない女の子がこちらを見下ろしていた

「えっ?」

 思わずYさんは口に出してしまった。

 すると、3人がパッとこちらに顔を向けた。

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「うわっ! えっ!?」

 ゴトン! カチャン!

 Yさんがペン立てと携帯を落とすと、ライトが部屋の暗闇を無茶苦茶に切り裂いた。

 慌てて携帯を拾い、駆け出して2階に戻ろうとしたYさんが階段に差し掛かったときだった。

「どうしたんですか?」

 2階からFさんの声。

「いや、え、あそこに……」

 ちょっとまて――。

 顔を上げて携帯で照らすと、そこにはFさんと同じ年頃の全く知らない女の子がこちらを見下ろしていた。

「もうなんのためかわかんないよねぇ」

 笑っている。

 パンッ! その女は笑いながら手を叩いた。

 バンッ! ガチャ! ガチャ! ガチャ! ガチャ!

 拍手と合わせて一斉に家中の扉が凄まじい勢いで開いた。

 そこでYさんの記憶はフッと途切れたそうだ。

「入院していた母の容体が悪化したって……」

 目が覚めた。

 明かりの点いていないFさんの部屋には、窓の外から光が差し込んでいる。

 夜が明けていた。

 チチチチチチ……。

 鳥の鳴き声を聞き、天井を眺めたままのYさんは思考を巡らせる。

 夢?

 起き上がると頭がぐらっとして、後頭部にズキンと鈍い痛みが走った。理由はわからなかったが、昨晩、気を失って頭を打った気がした。

 Fさんはすでに部屋にはおらず、下にいるようだった。Yさんはゆっくりと布団から這い出し、1階に降りてゆく。

 そこにはFさんと彼女のお父さんがおり、何やらバタバタと準備をしている。服装は寝巻きではなく、外出するように見えた。

「なにしてんの……?」

「あ、先輩、起きたんですね。すみません、あの、病院から今朝電話があって、入院していた母の容体が悪化したって……で、今から急遽病院行かなきゃならなくて……」

「……え?」

「すみません、せっかく来てもらったのに」

「え、どういうこと?」

「はい?」

「いや、昨日お母さんいたじゃん! 風邪引いて、マスクしてたじゃん!」

 Fさんは隣にいた父を見やり、それからこちらに向き直ってこう言ったそうだ。

「ねぇ~、先輩ってちゃんと話聞いてないでしょ~?」

 彼女とお父さんは笑っていた。

「……えっと、わかった。じゃあ私、失礼するから気にしないで」

 これ以上、この家に居たくなかった。話を合わせて、Fさん親子から目線をそらした。