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2022/05/10

日本人特有の説得方法

 例えば、「先日は、職員が○○だと説明したのに、今日は△△と言う。おかしいじゃないか!」などのようなクレームがあります。しかし、先日の職員とは、誰なのかわからず、調べようもないこともあります。このような時は、「『言った、言わない』を今ここで話しても、どうしようもないじゃないですか」のように、相手に無益であることを知らせて、主張を切り崩していきます。

 また、法令の枠を超えた要求については、「お気持ちはわかるのですが、公務員ですので、法令違反はできないのです」と言うこともあります。公務員ならではのフレーズを持ってきて、相手をあきらめさせようとするのです。日本人特有の説得方法である、「これについては、皆さん、このようにされています」と同調圧力を持ち出すこともあります。

 さらに、職員とクレーマーとの間で同じ話を何回も繰り返しており、一向にらちが明かないことがあります。こうした時に、「もうこれ以上、お話しすることはありません」と職員が話を切り上げようとします。その際、クレーマーから「俺は、市民だぞ。公務員のくせに、市民の言うことが聞けないのか」などと、言ってくることがあります。そのような時には、「あなた一人が市民ではありません。あなたのお話は、もう十分にお聞きしました」と言って、席を立ってしまいます。

反論のフレーズを共有しておくと、意外に便利

 なお、相手の主張にも一定の理屈があるような時もあります。こうした時も、相手の主張は横に置いておき、「○○さんは、そうおっしゃいますが、市としては△△としか言えません」のように、こちらの理屈をただひたすら繰り返し、相手の理屈には乗らないという方法もあります。

 反論する際には、こちらの論旨がブレてしまうと相手につけいるスキを与えてしまいます。何を言われても、同じことを繰り返して、こちらの正当性を訴えるしかありません。また、相手がもう一度ヒートアップしてくる可能性もありますが、それは耐えるほかありません。場合によっては、担当者と係長などの複数で対応して、人数的には有利な立場になることも、1つの方法です。

 こうした例は、一般のビジネスではあまり応用できるものではないかもしれませんが、先のような「こう言われたら、こう切り返せ」という反論のフレーズを共有しておくと、意外に便利だと思うのですが、いかがでしょうか。

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