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交際相手がすぐに警察に通報しなかった理由

 暴力を振るわれたAさんだが、すぐに自ら警察に通報したわけではない。その後も予定通りに仕事をこなし、日々の生活を続けた。警察が一件を知ったのは2日後の18日だ。

「実はAさんは1カ月ほど前の3月中旬にも芦屋警察署へ行っています。同棲している彼氏に暴力を振るわれたという相談です。当時は警察からT容疑者にも注意をしたし、Aさんも被害届を出すには至らず、結局は様子を見るという話に落ち着いた。ただ、こういった事案はその後も定期的なフォローが必要になるので、担当の警察官が18日にAさんに連絡を取ったんです。そこで伝えられたのが16日の出来事でした」(前出の地元紙記者)

©AFLO

 警察からも諭され、T容疑者が3月以後暴力を振るうことはなかったようだ。実際に、Aさんからその後に警察へ相談が寄せられることもなかった。だが、思わぬ2度目の暴力にAさんは耐えかねたのだろう。芦屋署員から受けた連絡でその内容を明かすと、翌日には直接出向き、診断書を添えて被害を詳細に届け出た。

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職場では淡々と仕事をこなしていたのだが…

「前の日に自分が飲み会で遅く帰ったら彼女に散々文句を言われた。それなのに次の日に彼女自身も同じように遅くに帰ってきて、ついカッとなった」

 逮捕直後、T容疑者はそう供述した。関西テレビ関係者によると、本社の放送推進部に所属する技術系の社員だという。

「エンジニアとしてカメラや映像機器を扱い、バラエティー番組やドラマの現場に入ったこともあります。目立ったトラブルを起こしたことはないと聞いていますし、職場では淡々と仕事をこなしていたのだと思います」

 T容疑者が日常的に暴力を振るっていた疑いは低く、前出の県警関係者は「弁護士を介すなどして当事者同士で話し合って合意ができれば、被害届を取り下げることもありえる。容疑者が起訴されて厳罰を科されるということはないだろう」と話す。

関西テレビHPより

 だが、T容疑者の逮捕を受け、関西テレビは20日に「弊社放送推進部に所属する男性社員が、交際相手への暴行による傷害容疑で兵庫県警に逮捕されました。弊社は現在、事実関係を確認中ですが、社員が逮捕されたことは遺憾であり、捜査の進展を見守った上で、厳正に対処します」とのコメントを出した。

 痴情のもつれと言えばそれまでだが、代償は高くついた。