昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

「顔と性器の交換」が起きた歴史的転換点

――男性はやはり黒髪清楚が好き、と。

牧田 それもあるでしょうね。ただ、清楚な存在が性的な存在に“堕ちる”ところが見たいという欲求が大きいと思います。エロマンガはファンタジーですから、普段見られないものを見たいのではないでしょうか。だからこそ、性的なものと遠い存在である清楚なキャラクターが好まれますし、学生や人妻といった設定が好まれるのも一種の“高嶺の花”だからだと思います。

「エロマンガ統計2016」より「髪の色」

――「見てみたい!」という欲求に応えていると。

牧田 逆に「見たくない」ものは隠されるんですよ。意外かもしれませんが、エロマンガでは男性の顔が描かれなくなる傾向があります。物語前半では70%弱のページで描かれていたのですが、物語後半になると38%のページでしか描かれなくなってしまいます。対して女性キャラの顔は全編通して減ることなく描かれるので、男性キャラの影がだんだん薄くなっていく。

――そういわれてみれば、男性キャラはだんだん無個性になっていくような……。

牧田 反対に出現率が高くなるのが性器です。2000年以降のエロマンガでは男性の顔と性器の出現率が逆転するタイミングがあって、エロマンガ統計ではこの現象を「顔と性器の交換」と呼んでいます。おそらく女性キャラの裸体と性行為を見たい男性読者が多いため、男性キャラはその道具として描かれる傾向があるのだと思います。

「エロマンガ統計1990's」より「男性の顔と性器の描写推移」

男性向けと女性向けは「根っこ」が違う

――同じ男性としてちょっと寂しい気がします。

牧田 もしかすると男性自身に、男性の体は汚いものだという意識があって、行為の最中にその存在が目立つと萎えてしまうのかもしれません。でも、これは男性向け作品だけに見られる傾向ではないんです。BL好きの人が「攻めと受けがいる部屋の天井/カーテンになりたい」と言っているのを聞いたことがありませんか? BL界隈は女性キャラが出てくるだけで「地雷」という人もいるくらいです。

――BLの話題が出ましたが、牧田さんはTL(ティーンズラブ)やレディコミといった女性向けエロマンガの統計もとられています。男性向けとの違いはどういった所にあるのでしょうか。

z