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全国レベルのチャンピオンシップ争いは高校からで十分

「女子では15歳~16歳、男子では17歳~18歳くらいまでは身体の成長が続きます。それまでに身体能力以上の負荷をかけてしまうと、成長を阻害する要因になりかねません。ですから私は、小中学生の全国大会は必要ないと思っています。それとママさんバレーに代表される親御さんのアクティビティにも全国大会は要らない。なぜなら、親御さんが全国優勝を目指すようなマインドセットになっていると、それを子どもたちにも押し付ける可能性があるからです」

 昨今、ジュニアの全国大会開催の是非が問われている。全日本柔道連盟は、「過度な勝利至上主義が散見される」として、今年度から全国小学生学年別柔道大会の廃止を決めた。

 もちろん、いろいろな意見はある。

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 この大会をきっかけに成長した選手、家庭からすれば、それがなくなるのは惜しいと思う。

 一方で、大会では指導者から審判への罵声が飛び、軽量級に出場するため、成長期の子どもが減量を強いられるなどの痛ましいケースがあったのも事実だ。

 全柔連の判断は他の競技団体にも影響を及ぼしつつあるが、浜田氏の考えでは、中学生までは県大会のレベルで十分ではないかと話す。

「全国レベルでチャンピオンシップを競うのは高校からで十分でしょう。そうすれば、10代でピークを迎えてしまうようなことは避けられるし、頂点を後ろ倒しにして、さらに高いところまで引き上げられるはずです。

 確かに先ほど六大学野球の例でも言ったように、早い段階から高い目標を立てることで選手が引っ張り上げられるケースはあります。でも、それだと早く頂点にたどり着くことはできても、頂点の高さが上がりきらないんです」

©文藝春秋

甲子園の最大の問題は、“一票の格差”

 しかし、例えば日本の高校野球が持つ熱狂は、そんな浜田氏の主張とは真っ向から対立する。夏の甲子園はあまりに破格の大会であるため、ファンや関係者が投下する熱量が大きすぎるのだ。それが投手の連投を生み、現在では選手保護の目的での球数制限へとつながってきた。

 ただ、浜田氏はこういった甲子園の“矛盾”も解決可能だと見ている。

「甲子園の最大の問題は、“一票の格差”だと思っています。たとえば、2021年であれば県大会で高知県は全国で最少の24校しか参加していません。一方、大阪大会は167校。当然、甲子園に出たいと思ったら、確率の高い県の学校に行きたいと思うのは当然でしょう。

 だから私は、“定数是正”をするべきだと思っています。高知が1代表ならば、大阪は5校出場することが是正につながります。そうすれば、地元出身の選手の割合も増えます。結果的に試合に出られる選手も多くなりますから、先ほど東大野球部の例で言ったように試合に出ることで成長できる可能性がグンと高くなる。『そんなことをしていたら、代表が100校を超えてしまうじゃないか』とお𠮟りを受けそうですが、100代表でも運営できる大会方式を考えればいいわけです」