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「自分の撮った写真はたしかに残虐だけど…」
加えて、宮嶋さんから見てウクライナでの戦争は「これまでにない」戦争だった。
「今回の戦争ほど、どう見ても侵略でしかない戦争というのは近年ないでしょう。犠牲者にしても、ロシアはウクライナに侵攻した軍人だけですが、ウクライナ側は膨大な数の民間人が殺されている。こんなにも非対称で、善悪のハッキリした戦争は珍しい。大国に侵略されると国はどうなるのか、人々がそれにどう抗うのかということを知っている人は世界にほとんどいないはず。だからこそ伝える価値がある」
宮嶋さんの写真には、無惨に殺害された民間人や子供の遺体を撮影したものもある。それらの写真が見て楽しいものではないことは承知の上で、「それでも見てほしい」と話す。
「自分の撮った写真を、目を背けずに見てほしい。それはたしかに残虐だし、気持ちがいいものではないけれど、ウクライナで実際に起きていることなんです。現実を直視して、ウクライナの人をどうすれば支援できるか、同じ事態を日本で起こさないために何をすればいいかを考えてほしい」
4月17日に帰国した宮嶋さんだが、5月の半ばにはウクライナへ戻り取材を続けるという。その理由を、宮嶋さんはこう語る。
「ウクライナで知り合った人もいるし、戦争が終わったら祝杯をあげようと約束した人もいます。ボランティアの熱意や冷静に日常を維持していることなども尊敬に値する。最悪の結末にならないことを願いながら、ともかく最後まで見届けたいと思っています」