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「1年目は若い選手を起用し、相手国の闘い方を研究します」

 様々なチーム改革を断行し、28年ぶりに女子バレー界に銅メダルをもたらした眞鍋は、その財産をもとにリオに視線を向ける。

「でも、間違っちゃいけないのは、ロンドンまでにやったことがそのまま通用するかといったらそうじゃない。相手国のメンバーが代われば監督も交代する。また、一からライバル国の研究をはじめ、それに対応する戦術を編み出さなければなりません」

 眞鍋は、ロンドン五輪王者のブラジルより米国が力を増すと予想する。世界一リーグが盛んなトルコ、ドイツ、ロシアも成長し、そこに中国、韓国などが加わり、リオ五輪は熾烈な闘いになるはずという。

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「1年目は若い選手を起用し、相手国の闘い方を研究します。でも、リオ五輪には最高の12名を選びたい。年齢、キャリア、性格は問いません。誰にもチャンスがあります」

 選手の能力を引き出す指導力は、ロンドン五輪で見せた。しかしそれは監督としてのテクニックというより、眞鍋の性格によるものが大きかったと竹下が言う。

「眞鍋さんは基本的に名誉欲というものがほとんどなくて、選手にもコーチにもいい思いをしてほしいというのがすごく伝わるんです。だから、私たちも頑張れたし、高い技の習得という厳しい練習にも耐えられた」

 この言葉は、東京五輪の東洋の魔女たちが大松監督を評するときに度々聞かされたセリフだ。

女子バレーの歴史に燦然と輝く東京五輪での金メダル ©共同通信

 プレイヤーズファースト。選手をいかに生かすかが勝利監督の普遍的な事実だ。そして、誰も考えていないオリジナルの技を編み出す。ジャパンオリジナルの技がなくては、世界に勝てない。

 東洋の魔女には回転レシーブとサーブが微妙に変化する木の葉落とし、モントリオールにはひかり攻撃という世界を驚かす日本発の技があった。