他と響あいながらアート作品に落とし込むのが好き

ーー本書では各章ごとに、聖書を引用してあるのが大きな特徴になっています。これはなぜ?

「幼稚園から高校までキリスト教系の学校に通っていたから、聖書は身に染みている感覚がありました。今回初めて文章を書くにあたって、何か基盤になるものがあるといいなと思って自分の内側を探ったら、出てきたのが聖書でした。わたしの場合どんな表現をするにしても、身近なことや体内にしっかり取り込んであることを扱わないと、ダブつく感じがしてダメなので、ここは勝手知ったる聖書に共に来てもらおうと考えました」

ーー『はい、こんにちは』を書いたことが、エリイさんのアートに影響を及ぼす面はあるでしょうか。

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撮影:伊澤絵里奈

「どちらもわたしがやっていることなので、当然つながっていきますし、森美術館での個展にも『SUN』という作品を出品しています。この本の内容をわたしが3種類のバージョンで朗読して、その音を使いサウンドインスタレーションにしたものです。

 本のどの部分を朗読するか、文章の抜粋はメンバーにしてもらいました。自分じゃなかなか選びきれないので。それに、わたしがおもしろがるポイントと、他のみんながおもしろがるところって、たいてい違ってるんですよね。おもしろがるポイントに賛同してもらえたためしがあんまりない。

 人に本や漫画、映画をおススメしてもフィードバックがあったことがないです。話の端々に小ネタを織り込んでみても、気付かれないことが多いですね。

 アートは6人のチームでやっているから、話し合ううちにどんどん作品に社会性を帯びていきます。もしわたしがひとりでアートをやっていたら、という考えはあまりうかばないですね。コレクティブという他と響きあいながらアート作品に落とし込むのが好きですから」

はい、こんにちは

エリイ

新潮社

2022年1月31日 発売