なぜか有名人の誕生日が集中する日というのがある。きょう5月15日がまさにそうだ。ざっとあげるだけでも、ロックバンド・King Gnuの常田大希(30歳)、俳優の藤原竜也(40歳)、プロボクサーの辰吉丈一郎(52歳)、元プロ野球選手の江夏豊(74歳)、歌手・俳優の美輪明宏(87歳)のほか、故人でも社会運動家・政治家の市川房枝(1981年死去、享年87)、俳優・映画監督の伊丹十三(1997年死去、享年64)、さらに昨年11月に99歳で亡くなった小説家・僧侶の瀬戸内寂聴と、錚々たる名前が並ぶ。
このうち瀬戸内寂聴と美輪明宏は長らく親交があり、たびたび対談もしている。10年前の2012年には女性誌で藤原竜也を交えて鼎談したこともあった。その冒頭ではこんなやりとりが見られる。
《美輪 5月15日生まれって意外と多いの。神様がバーゲンでもしている日なんじゃないかしら。
瀬戸内 すごく気候のいい頃でしょう。爽やかな季節に産まれたということは、やっぱり嬉しいですね。
美輪 バラが美しい頃だし。
瀬戸内 5・15事件もあった。
美輪 反骨、反逆の精神があるのね。》(※1)
「ポルノ」「国賊」と呼ばれて
先の顔ぶれを見ると、たしかに「反骨・反逆」という言葉がしっくりくる。瀬戸内にしても、夫の教え子と恋に落ち、家庭を捨てるなど波瀾に富んだ前半生を送り、作家になってから作品がポルノグラフィと酷評されても、自分は間違っていないと抗ってみせた。後年にいたっても、戦争が起こるたび反対を訴えるなど、亡くなるまで社会に向けて積極的に行動を続けた。
美輪もまた、長崎の比較的裕福な家に生まれながら、のちに実家は破産、故郷の街も原爆で破壊され、一時は東京でホームレス生活を送ったこともある。元祖ビジュアル系というべきいでたちで世に出たときには、戦後もしばらく残った軍国主義的な風潮から「国賊」などと誹謗中傷も受けた。それでもけっして屈せず、おのれの美学を貫いてきた。