数ある終着駅の中でも、ほんとうの意味での終着駅は最果ての終着駅であろう。東京都心の中にひっそりとある終着駅など、結局数分も歩けば他の駅に行けるから、かりそめの終着駅に過ぎない。
となれば、本当に日本の端っこの終着駅こそ、正真正銘の終着駅である。それはいったいどこなのかというと、まず思い浮かぶのが北海道。冬になると雪に覆われる北の終着駅こそ、いかにも最果て感があって終着駅らしい。だが、最果てなのは北海道だけではない。そう、北とは真反対、沖縄があるではないか。
東京を中心とするのは少々気が引けるが、とりあえず東京からの距離という点でいえば北海道よりも沖縄の方が遠い。だから沖縄にある鉄道の終点こそが、いちばんの終着駅なのだ。
そしてその沖縄には、一本だけ鉄道が通っている。沖縄都市モノレール、通称「ゆいレール」。その終着駅が、日本で最も最果てにある終着駅である。
「てだこ浦西」には何がある?
そんなわけで、沖縄に飛んだ。沖縄の玄関口・那覇空港。ゆいレールはこの空港の脇から出ているモノレールだ。
ゆいレールが走っているのは、那覇空港~てだこ浦西間。つまり、沖縄にやってきた人がレンタカーではなく公共交通で移動しようとすれば、まず最初に乗ることになるのがゆいレールということになる。
終着駅に“最果て”性を求めるならば那覇空港駅がちょうどいいとする向きもあろうが、空港は東京や大阪といった大都市とも直結している。だから最果て感には乏しい。やはり空港からゆいレールに乗って終点を目指さねばならない。
土地柄とうぜんのことだが、那覇空港駅は日本最西端、お次の赤嶺駅は日本最南端の駅だ。
ゆいレールが開業するまでは、最西端がたびら平戸口駅、最南端が西大山駅だったが、お株を奪われていまでは“本土最西端”“本土最南端”などといっている。何か特別なことがあるわけでもないのだが、やはり最西端・最南端というつまり端っこまでやってきたというのはちょっと達成感がある。
そんな最南端・最西端のモノレールは、ほとんど一貫して那覇の中心市街地を走っていく。奥武山公園駅のホームからはプロ野球の試合も行われる沖縄セルラースタジアム那覇が見え、国場川をわたるところで右手に目線を向ければ漫湖公園。そして那覇のど真ん中、沖縄県庁や那覇市役所のある一帯を空中を飛ぶように駆け抜ける。