なぜこれだけ空き地が?
しかし、これで終わってしまってはせっかく沖縄までやってきたのにあまりにももったいない。しばらくてだこ浦西駅の周りを歩いてみることにする。
駅の北側、広場のある側を歩いてみると、まあもちろんのこと何もない。道路ばかりが新しく、空き地はどうやらこれから何らかの施設ができる開発待ちの土地のようだ。少し離れたところには、重機が入っていて目下工事中とおぼしき空き地もあった。
当たり前のことだが、開業間もない新駅の周りの空き地は単なる空き地ではなく、まさに再開発計画の途上なのだろう。
このてだこ浦西駅前の再開発、将来的には大型商業施設や医療機関、スポーツ施設、そして住居ゾーンも設けられる予定だという。東京都心の新ターミナルのようにタワマンジャングルになることはないだろうが、人口増加が続く浦添市のこと、数年後にはてだこ浦西駅前もきっと大きく変わっているに違いない。
そしてそんな造成中の空き地の遠く向こうには、浦添の住宅地が見える。歩いて行けるような距離ではなさそうだ。だから、そのあたりに住んでいる人がゆいレールに乗るにはクルマに乗ってやってきて、件の1000台駐車場に停める。いわゆるパークアンドライドというやつだ。
もともとが徹頭徹尾クルマ社会の沖縄県。モノレールを通してもそれだけで交通が成り立つはずもなく、パークアンドライドはモノレールを活かすためには欠くことのできないツールなのである。
「てだこ浦西」の“もうひとつの役割”
てだこ浦西駅には、もうひとつ西原町の玄関口という役割もある。もともとモノレールの計画段階では、西原入口として構想されていた駅であるから、西原町へのアクセスもこの駅の本質のひとつだ。
駅のすぐ下を通っている道路を歩いて南に向かい、市町境を跨いで西原町に入る。沖縄自動車道をオーバーパスしている県道38号線を歩いてゆくと、すぐにガソリンスタンドや琉球銀行の支店、小さな飲食店などが建ち並ぶ一角にたどり着く。いまの時点では、てだこ浦西駅からいちばん近い市街地といっていい。
これが西原町の中心市街地……であればいいのだが、あいにくながらそうではない。