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ハイパークルマ社会・沖縄の“ナゾの終着駅”「てだこ浦西」には何がある?

最果ての終着駅#1

2022/05/15

genre : ニュース, , 社会

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 西原町のもともとからの市街地は南東に離れた場所にあるし、この町を特徴付ける存在の琉球大学はこれまた北東に離れたところ。つまり琉球大学の学生が通学に使う駅ということにもなる。

 琉球大学は学生たちも取り立ての免許でクルマ通学をするというからいかにも沖縄らしいが、そういった光景もこれから少しずつ変わってゆくのかもしれない。

公共交通利用率3.2%!東京、大阪などとは比べものにならない深刻な那覇の渋滞

 かくのごとく、てだこ浦西駅は浦添市東端のこれから生まれる新市街地の拠点駅であり、同時に西原町への玄関口という役割を持つ。

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 さらにいえば、駅近くの沖縄自動車道には幸地ICというあらたなインターが2024年に完成予定。そうなれば、クルマと鉄道の、すなわち交通結節点としての役割も担うようになる。

 渋滞の激しい那覇市街地に直接クルマで乗り付けることなく、てだこ浦西駅までクルマでやってきてモノレールで那覇中心部へ、という使い方ができるようになる、というわけだ。

 

 この沖縄の、とりわけ都市部における渋滞は実に深刻な問題だという。東京や大阪といった本州の大都市の渋滞も悩ましいが、それとは比にならない。那覇市内の平日混雑時平均旅行速度は10.8km/h。全国平均32.0km/hはもとより、東京23区の14.6km/hや大阪市の15.3km/hと比べてもかなり遅い。それだけ那覇市内の交通渋滞は深刻なのだ。

 公共交通利用率も全国平均29.9%を大きく下回る3.2%に留まっていて、人びとは渋滞に巻き込まれる路線バスを選ぶか、それとも自分でハンドルを握って渋滞に突っ込むかのどちらか。そういう究極の選択を迫られている。