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大久保家の子育て方針は “友達のような親子”

――大久保家の子育ての方針は何ですか。

大久保 “友達のような親子”ですかね。僕は姉、妹の男一人だったせいか、父にはめちゃくちゃ可愛がられて育ちました。でも、「プロサッカー選手になれ」という期待が大きかっただけに、父には自分の本心が言えなかった。テレもあったし。だから自分の息子たちとは絶対に心の壁を作りたくなかったんです。なんでも話せる父親になろうと思っていましたね。

 長男・碧人(あいと)、次男・緑二(りょくじ)、三男は橙利、末っ子の四男・紫由(しゆう)、そして妻の莉瑛さんと。 (「俺は主夫。職業、現役Jリーガー」〈講談社〉より)

 ただ、子供たちが小さい頃はやっぱり最後は「ママ」なので、妻に「いいよな、お前はおっぱいという武器があって」なんて拗ねていました。でも、成長するにつれ、口やかましいママよりは話しやすい僕に甘えてくるようになった。妻には「あなたはずるい。美味しいところだけ取って」と文句言われています(笑)。

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 長男・碧人(あいと)は高2、次男・緑二(りょくじ)は中1、三男は小5、末っ子の四男・紫由(しゆう)は5歳。妻の出産には僕だけでなく子供たちもそれぞれ立ち会わせています。新しい家族の誕生の瞬間を子供たちに認識してほしかったのと、兄弟の絆が生まれればいいなって。

 ただ、なんでも話せる家族になっていても、子供の反抗期には勝てません。碧人が中2の時、何か僕にイライラしていたのか、洗面所にいたときに突然後ろから蹴りを入れてきたんです。その瞬間、ここは父親として戦うべきと考え、力ずくで首根っこを押さえこんだ。こいつデカくなったなと思いつつ、力を緩めなかった。長男は大声で泣きわめいていたけど、翌日にはまた穏やかな姿に戻っていました。

 緑二もそろそろそういう時期が来ると身構えています(笑)。

――息子さんたちにサッカーはやらせたいですか。

大久保 全員サッカーをしています。今、どんなに忙しくても息子たちのサッカースクールの送り迎えはやるようにしています。外から練習を見学することもありますが、スクールの監督やコーチの指導法に口出しすることはないですね。子供が戸惑うだけですから。息子の友達にもアドバイスを求められることがありますけど、「僕はこう思うけど、でも監督やコーチの指導が一番だよ」って。

(撮影:深野未季/文藝春秋)

 息子たちには好きな道を全うして欲しいですね。海外でサッカー修業をするのもいいし、可能であればプロを目指すのもいい。サッカーをすることによって、仲間の大切さや努力の仕方を学んで欲しい。僕は現役時代、ちゃらんぽらんに見えていたかもしれないけど、実は人一倍練習していました。居残り練習をして、スタッフから「もう帰れ」とよくせかされましたし。 

 サッカーが上手くなりたいと願う過程で人生の多くのことが学べる。努力の仕方が分かれば、社会人になっても応用が利くと思うんですよね。

#3では、2022年11月21日に開幕する、FIFAワールドカップ・カタール大会予想について話を聞いた】

俺は主夫。職業、現役Jリーガー

大久保 嘉人

講談社

2021年11月26日 発売

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。