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「ここおったらヤバイかも!?」「ああ、もう無理や」…家出して大阪・西成に辿り着いた20代男性が現場仕事を飛び続けた“驚きの言い分”

『人生、しばしばホームレス』より #1

genre : エンタメ, 読書

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 行くとこもないし金もないし、労働センターの中入ってウロウロウロウロしとったら、ある飯場(作業員宿舎)の手配師(日雇労働者に仕事を斡旋する人)が声かけてきた。

「仕事ないんか? 住むとことか、行くとこないんやったらウチ来るか?」

 言うて、西成の会社の飯場に日雇いの「契約」の仕事(寄せ場で斡旋される日雇労働の就労には「現金」 「契約」等がある。 「現金」とは、日帰りで、その日の仕事終了時に報酬がもらえる1日の仕事。 「契約(期間雇用)」とは、一定期間飯場に入って、そこから労働現場に通う仕事)で入った。それが労働者生活の始まり。

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 契約の仕事は、寝泊りもできるし、前借りもできる。3食付いて飯も食えるから、 「まあこれやったらいけるか」って思った。

肉体労働のしんどさ

 部屋はそれなりに広いし、西成で住めたから、 「遊びに行くにも楽や!」とか思った。でも、 「土方なんかやったこともないしできるかな」って思いながら、一番最初はリサイクル工場でゴミ拾い。

 敷地内に工場とか事務所があって、その敷地の中の外でゴミ山の分別みたいなんしとった。完全に処分する物とまた使えそうやったら修理するなりなんなりする物の分別。

 身体動かす仕事ほとんどしてないから、肉体労働をするしんどさはあった。ほんまに分別するだけやから、たいした肉体労働ではないけど、それをやっぱり1日中やるとか、まあ当たり前やけど、もちろん雨ん中でもやらされたし、そんなんが今まで経験なかったから、しんどかった。

 コンビニでやった力仕事なんか、荷物をちょっと運ぶぐらいでたいした事なかった。

給料を前借りして遊びまくる

 ある程度働いたら、だいたい毎日2000円ぐらいは前借りさしてもらえとった。ジュースとかお菓子とか食う分には2000円ぐらいあったらよかった。どうしてもキャバクラとか風俗に遊びに行きたい時は、2、3日ためて行くか、週末かなんかに大っきく借りて行く。

 前借りは、会社によるけど、初日が1000円で次から2000円とか貸してくれる。ちゃんと仕事出て、それなりにお金がたまっとったら、週末に自分の取り分(給料)の中から1万とか1万5000円は貸してくれる。

 だいたい西成から引っ張ってきた人間なんて金なしで来る。飯はもちろん付いてるから食べれる。

 けど、タバコ好きな人とかお酒飲みたい人とか、そういう人はやっぱり前借りできたらそれでやれたりする。