あと、飛び出すだけじゃなくて、怖い曲がり方をする自転車もいますよね。たとえば自転車で右に曲がるとき、たぶん免許を持っている人なら、一度道路の左側に寄って大きく曲がると思うんですよ。でも、中高生なんかは最短距離で曲がってくることもあるじゃないですか。曲がった先の道から車が来ていたら避けられないですよね」
小さい子どもや中高生など、「優先道路がどちらか」を意識せずに交差点を通行しているケースは日常的に目にする。自動車教習所においては「かもしれない運転」の重要性を教わるが、ドライバー側はつねに、交通ルールを把握していない幼児や児童の通行を念頭に置く必要がある。
交差点で一時停止無視の自転車と衝突、過失割合は
上述のケースのように、信号機のない交差点において、一時停止側から飛び出してきた自転車と優先道路を通行していた車が衝突した場合、過失割合は基本的に車の方が大きくなる。損害保険会社のスタッフは以下のように語る。
「信号機のない交差点で、自転車側に一時停止の標識があるにもかかわらず飛び出してしまい、車と衝突した場合、基本的には自転車と自動車の過失割合は40:60になります。
さらに、自転車側が児童や高齢者などの場合、過失割合が減算されるケースもあります。以前担当したケースでは、自転車側が70歳を超える男性で、過失割合が35:65に修正されました。
事故が起きた十字路は、優先道路側からは家の塀で左側の道路が見通せないような形状でした。ドライバーの死角から、一時停止を怠った自転車が車の左前方側面に衝突するような形でしたね。
ドライバーの方は法定速度を守っていたこともあり、『避けられるワケないだろ』と主張していましたが、交差点にはカーブミラーも設置されていました。対処の余地があったことから、基本の割合をベースに算定されたのだと考えられます」
実際のところ、自転車が一時停止をせず高い速度で通過してきた場合など、避けることが難しい場面も考えられる。とはいえドライバー側としては、小さな接触でも自分の車が重大な被害を生じさせる可能性を念頭に置かなければならない。信号機のない交差点においてはとくに、「見通せない=陰に誰かがいる」という前提意識を持っておく必要があるのだろう。