自転車の「無灯火運転」は責任が大きい
免許がいらず、幼い子どもでも乗れる自転車は、「道交法上は軽車両として扱われる」という意識が浸透していない傾向にある。結果として、「無灯火」や「逆走」といった危険な行為を自然にしてしまっている者も多い。
無灯火の自転車については、「ライトがなくても見えるし……」といった言い分もしばしば耳にする。「他人から認識してもらうためにライトを点ける」という意識が根付いていないことも多いのだ。
無灯火の自転車が自動車と事故を起こした場合の過失割合について、損保会社のスタッフは次のように語る。
「夜間では自動車のヘッドライトが視認しやすいことから、基本的に自動車側の過失が5%減算されます。さらに自転車側が無灯火の場合、その過失割合は10%上乗せされます。
私が最近担当したケースだと、コンビニの駐車場から出ようとした自動車が、右側から来た無灯火の自転車と接触する事故がありました。基本的に、施設から出ようとする車と、直進自転車との接触事故は90:10で車側の過失が大きくなります。
ここでは夜間かつ自転車側が無灯火であったことから、過失修正がなされて75:25となりました。ただそれでも、自動車側はほとんど停止に近い状態だったとのことで、ドライバーの方は納得していない様子でした」
施設の出入り口付近には見通しの悪い場所も多く、車両の形状や看板などの配置によっては「鼻先を出さないと状況がわからない」というシーンもある。そのなかで、無灯火の自転車に気づくことが遅れることも考えられるだろう。自動車・自転車双方が、自身の存在を相手の目につくようにする意識が求められる。
軽すぎる?「逆走自転車」の過失割合
自転車乗りによる「自殺行為」としてしばしば槍玉にあがるのが、車道の右側を通行する「逆走」である。タクシードライバーを20年以上務めるM氏からは、次のようなケースも聞かれた。
「この前、ラウンドアバウト型の交差点に差し掛かったところで、反対側から自転車がかなりのスピードで逆走してきて……肝が冷えましたね。小学校高学年くらいの子が3人くらいで競走していたみたいなんですが、その一人がふざけて違うコースを走ろうとした感じに見えました。逆走はほんとに、『いつか事故るぞ……』とヒヤヒヤしますよ」
ドライバーにとって「逆走自転車」の存在は脅威だが、実際に事故が起きた場合の過失割合はどうなるのか。先の損保会社スタッフに聞いた。
「最近目にした事例では、比較的車線の狭い二車線道路の左側を直進していた車が、逆走してきた自転車とミラーを接触してしまった事故がありました。割合としては、80:20で車側の過失が多い結果となりました。この割合は今回のケースに限らず、逆走自転車と直進車との事故において基本的となる過失割合です。
ドライバーの方は自転車側がフラついていたと主張していましたが、ドライブレコーダーの映像ではそのような挙動は確認できなかったようです。仮に自転車側に著しい操作ミスなどが認められたとしても、過失割合は10%修正される程度かと思われます。