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 たとえば仮に、自転車側が逆走しながらスマートフォンを操作していた、という状況で同様の事故が起きても、70:30程度の割合になるのではないでしょうか」

「ながらスマホ」かつ「逆走」という危険極まる乗り方でも、自転車側の過失が3割というのは納得しがたいかもしれない。明らかにおかしな挙動の自転車を目にしたら、車側は減速して様子を見るといった措置を取らざるをえないだろう。

 なお当然、自転車であっても逆走や一時停止無視、ながらスマホといった行為は道交法違反にあたり、罰則の対象となる。これらはいずれも「5万円以下の罰金」が科されうる違反である。

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 自転車による道交法違反に対する警察の措置は大きく2つに分けられ、軽微な違反に対しては「自転車イエローカード」などと呼ばれる「指導警告票」が発行される。これは罰則を伴わないが、危険性の大きい違反に対しては、罰則を伴う「検挙」の措置が取られることもある。

 近年の傾向として、自転車の道交法違反に対しても、「検挙」の形で取り締まるケースが増えている。罰則のない指導警告票の発行件数は、2011年には約220万件だったが、2021年に約131万件まで減少。対して罰則のある「検挙」の件数は、2011年の約4000件から2021年に約2万2000件まで増加した。

路駐の車を避けようとして……

 反対に、自転車側から見た「危険な車」にはどのようなものがあるだろうか。自転車での配送業務を請け負うY氏からは次のような意見が聞かれた。

「路上駐車が怖いですね。大きく車道に膨らまなければいけないですし、停車している車が合図なしに動き出すこともあります。一度、路駐の車のドアが急に開いたのを避けて転んだことがあって、それからは通るたび気をつけています」

 路駐車両を避けた自転車と後続車との事故について、損保会社スタッフは以下のように話す。

「自転車が前方の路上駐車を避けようとして進路を変え、それにより後続する自動車と接触してしまった場合、基本の過失割合は90:10です。

『向こうが後ろを見ずに方向を変えてきた』と主張するドライバーの方もいますが、自動車側は状況を十分に把握できる位置にありますので、より大きな注意義務を負うことになります」

 しかし過失割合は小さいといっても、事故で大きな被害を受けるのは大抵自転車側である。進路変更の際には必ず後方を確認し、後続車と意思疎通を図ることが望ましい。