「いっこく堂って今何してるのかなと思って調べたら一人でリモート会議やってた。」
2022年1月下旬、漫画家・おおひなたごう氏がそんな言葉と共にTwitterにあげた動画には、腹話術人形の“師匠”と“カルロス”を相手にした一人三役の「リモート会議」をするいっこく堂氏(59)の姿が。その芸の凄さもあって、24.6万件の“いいね”がつくほどの注目を集めた。
「今何してるのか」を筆頭に、ものまねタレント時代、舞台俳優から腹話術師となった経緯などについて、話を聞いた。(全2回の1回目/続きを読む)
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「忘れられるんじゃないか」という心配が常にある
――「リモート会議」の動画が大いにバズりましたね。そのきっかけとなったおおひなたごうさんのツイートには、約25万もの“いいね”がつきました。
いっこく堂 あ、それがあってインタビューしてくれてるわけですね。なにも話題がないのに、なんで呼んでくれたんだろうって不思議だったんです。
Twitterの件は、僕のことを思い出してくれて嬉しいなっていうのが率直な感想で。もうね、この業界にいると「これだけ世に出てないと、忘れられるんじゃないかな」っていう心配が常にあるんです。まぁ、ずっと個人でやってますし、事務所としても強いわけじゃないですから。なので、あんなふうに呟いていただいて、そこからみなさんに思い出してもらっただけでも本当に嬉しいなって。
コロナ禍でステージが激減
――「これだけ世に出てない」原因には、やはりコロナの影響もありますか。
いっこく堂 僕はステージの人間なので、コロナ前は一番多い時で年間200本ぐらい公演をやっていましたけど、それが丸々なくなりましたから。でも「なんで俺だけ」とは思わないですね。大きな意味でいえば誰もがそういう状態ですから。
日常を当たり前だとは思っちゃいけないっていう意識でずっと生きてきたので、「しょうがないな」と受け入れてはいます。コロナが収束しても、元の状態に戻るんじゃなくて、さらに新しいところに進むべきじゃないかって考えていますね。
――ステージ以外での活動の場は、どこに移されていましたか。
いっこく堂 稽古だけしていました。本当になにもない感じだったので。かといって荒んだ生活にはなりませんでした。やることは毎日あって、1日10キロ走るのは21年前からの日課になってますし。腕立て伏せと腹筋もやっているし、それプラス稽古をやってという感じで。新しい芸もあることはあるんですけども、いまは必要とされてないなっていうのがありまして。出せる時になったら出そうかな、みたいな。