昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2022/06/07

genre : エンタメ, 芸能

腹話術の常識をくつがえしたテクニック

――無音のまま口が動き、少し遅れて声が聞こえる「衛星中継」をはじめ、いっこく堂さんの芸は衝撃的でした。「ぱぴぷぺぽ」などの両唇音(上下の唇をつけて、一度離さないと出ない音)を出したことも、腹話術界では快挙だったそうですね。

いっこく堂 僕は小学校の時に鉄棒にぶつけたので前歯が欠けているんですけど、おかげでその隙間から舌を出し、上唇の裏側に舌をくっつけることによって、「ぱぴぷぺぽ」「ばびぶべぼ」「まみむめも」が言えたんです。最初の頃はそうやっていましたが、5、6年前からは舌先だけで両唇音が出せるようになりました。そこは訓練の賜物、やっていくうちにうまくなったんですね。

 あと、呼吸かな。息を止めるんです。止めないと出ないんですよ。

――やはり、口の中では複雑なことが行われているんですね。

いっこく堂 複雑なことを簡単に見せないと(笑)。

 

顔面を骨折…転倒事故の「真相」

――前歯の欠けが腹話術に活きたわけですが、2016年に顔面を大怪我されていますよね。その時は、何かしら支障が出ましたか?

いっこく堂 原因は、よくある朝礼等で倒れてしまう「迷走神経反射」です。トイレを出た時に、ふぅ~と意識を失って倒れてしまいました。僕はお酒が飲めないんですけど、あの頃は飲めるようになりたいと思って練習していたんです。多分、それが原因じゃないかな。具合が悪くなって、もう寝ようとトイレに行って。そのドアを開けて出たところまでしか覚えていません。

 意識が戻って、気がついたら血が出ていました。僕が倒れたトイレは自宅の2階にあって、その時、妻は3階にいたんです。室内フォンで妻に「救急車呼んで」と伝えて、救急車で病院へ行きました。

――さらっとお話しされていますが、かなりの重症ですよね。

いっこく堂 病院で診てもらったら、頭を打ったことによる外傷性のくも膜下出血。それと頬の骨も折れていました。でも、声が出せないとか、そういった支障はなかったですね。3日で退院しました。

 退院後もすぐに稽古していました。1週間後には10キロ走っていましたし、体力的にも問題はなかったです。

 それよりも、スポーツ紙等に大きく出てしまったため、いまだに具合が悪いのではとか、大病を患ったとかリハビリ中だとか、勘違いされてる方も多いんです。そのせいで痩せたとか。そうではなく、テレビにたくさん出ていた頃は運動する暇もなくて、人生で一番太っていたんです(笑)。僕は元気ですよ。

z