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「女性器は使わせねぇ派だった。でも、実用してみたら“ほー”って」トランスジェンダー格闘家(31)が語る、性別を変えて生まれた“性への探求心”

進一さんインタビュー #3

2022/06/03
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「FtMで水商売、やりやす!」

ーーその答えは? 

進一 オナベの活用。どれだけ褒められても、「いや、竿ないんですよ。これが」とか「いやもう、明るくしたらしわくちゃのババアですよ」とか「もう、おっさんかおばさんかわかんない」みたいな。そういうアイデンティティを、あえて面白おかしくコンプレックスであるかのように。 

ーー逆手にとって。 

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進一 そうです。だから「FtMで水商売、やりやす!」って思いましたね。一般の男性よりもボコしやすい。だって、そもそもハンデを背負ってるわけだから。まぁ、こっちはハンデとは思ってないですけど。でも、それをうまいこと面白おかしく言えるのって、ありがたいです。 

 

ーーちょっとお姉さんの見立てとは違っていたけど、いずれにせよ歌舞伎町は合ってたってことですね。 

進一 合ってたと思います。姉貴にも羨ましいって言われましたもん。「お姉ちゃんもそっちがよかった。オナベがよかった」って。あっちは純の女だから、こういうふうにできなかったから。 

格闘技に興味はあったけど、“女枠”に抵抗感が

ーー格闘技もやられてますけど、いつから始められたのですか。 

進一 始めたのは、去年の3月。友達のホストさんにキックボクシングに誘われたんです。すんごくしつこく誘われたけど、僕は別のジムに入会してるから「いい、いい」って断っていて。

 それでも何回も誘ってきて「体験でもいいから」と言うから「じゃ、体験だけね」って行ってみたら、こっちのがぜんぜん楽しくて。もう、その日に入って、ジムは解約しました。 

ーー以前から格闘技への興味は。 

進一 あったけど、女子キックボクシング、女子ボクシングって、“女枠”でやるのが嫌だったんですよ。やっぱり、そこでも“男たるもの”ってのが出てきちゃっていて。 

 

 小さい頃から興味はあったけど、幼いながらに「自分はそこには行けない」のをわかってたから、選択肢から除外してた。だから、まさか自分がリングの上に立てるなんて思ってなかったですよ。 

 で、去年3月の「K-1 WORLD GPスーパー・フェザー級タイトルマッチ」でやった武尊とレオナ・ペタスの試合を見て「なんか出られるのないかな」って、誘ってくれたホストに話したんですよ。そうしたら「ああ、『宴 -UTAGE-』があるじゃん」「宴?」「ほら、ホストの格闘技イベントあるじゃん」って。「えっ、それバーでも出れる?」「飲み屋だったら、出れるでしょ」となったんです。 

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