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「女性器は使わせねぇ派だった。でも、実用してみたら“ほー”って」トランスジェンダー格闘家(31)が語る、性別を変えて生まれた“性への探求心”

進一さんインタビュー #3

2022/06/03
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 史上最強の竿無し男 俺に急所はない。 

 そんなキャッチフレーズでホスト格闘技イベント「宴 -UTAGE-」のリングに立つのは、 女性としての性を割り当てられて生まれたが、現在は男性として生きるFtMの進一(31)。 

 ある違和感から決意した離婚、それを機に飛び込んだ夜の世界、“男らしさ”への執着からの解放、格闘家になった経緯などについて、彼が店長を務めるBAR はいからで話を聞いた。 (全3回の3回目/1回目を読む)

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進一さん

◆ ◆ ◆

「なんか、不利じゃね?」離婚して気づいたモヤモヤ

ーー離婚について詳しく教えて下さい。 

進一 なんだかんだで男性社会には溶け込めたし、世の男性と同じような結婚も叶ったんだけど。なんか、腑に落ちなくて。 

 僕はオープンじゃないですか、性格的に。当時の奥さんとその家族は僕がFtMだと知っているけど、彼ら以外にFtMであることを隠して夫婦をやっていくことが、窮屈だったんですよ。 

 一般の男性に比べたら、僕らって男になるまでの段階があるわけじゃないですか。子宮を取って、胸も取って、戸籍も変えて、という。それを周りに知ってもらえずに男として扱われることに「なんか、不利じゃね?」って。そういうモヤモヤ、不満みたいのもあったんですよね。これは離婚してから気づいたんですけど。 

 で、離婚したんだから、やりたいように生きればいいじゃんって。自分自身のために生きていく、本当の意味での人生を送っていこう、というか。 

ーーそして、歌舞伎町へ。 

進一 大好きな姉貴が、歌舞伎町の元売れっ子キャバ嬢だったんですよ。それもあって水商売に進みたい願望があったけど、交際してた彼女や元奧さんという存在もあって、なかなか手が出せなかった。でも、離婚を機にもうやりたいことをやろうと思って、歌舞伎町に来たんですよ。 

 

 僕的にはオープンでいることの方が楽だし。生まれてからいまにいたるまでを知ってもらったうえで、絡んでくれるうほうがいいし。こういう生き方をしてきたんなら、それをウリにできる水商売をやったほうが得じゃないかって。実際、姉貴にも「あんたの顔面の系統は歌舞伎」「あんた、絶対に夜だよ」とは言われてましたし。 

 28歳という遅めの歌舞伎町デビューでしたけど、おかげさまでとんとん拍子で。結果、いまのお店を持てました。 

戸籍を男性に変えてから芽生えた「探究心」

ーー戸籍を男性に変えてからセクシュアリティに対する探究心が芽生えて、自分の女性器を使ってみたくなったとYouTubeの某チャンネルで仰っていて、ちょっと驚いたのですが。 

進一 ホルモンしか打ってない頃の自分が、そんなの見たら「なに、やっちゃってんの?」って話なんですけどね。 

 

 年齢を重ねるにつれて、いろんな物事に対する視野が広がったんですよね。で、「一生、使わないのはもったいないな」と考えたんです。「せっかくあるんだから、使えば一般の男よりも女の子のこと知れる。特別な男になれるんだ」という感じ。 

 で、あるとき、タチの男性にすんごい迫られたので。最初は嫌がるフリをしてましたけど、「ちょうどいい機会だな」と思ってヤリました。「せっかくなんで、実用させていただきます」っていうね。 

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