「殴っても、しつけとしては全く意味がない」

 弁護士で自身も先日2人目の子どもを出産した三輪記子さん(45)はそう語る。

 親が子どもを殴って懲らしめるのが普通だった時代は終わりつつあるが、児童相談所が子どもを保護するケースは毎年増加の一途を辿っている。

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 さまざまな子育て観が混在する社会の中で、三輪さん自身はどんな風に子育てについて考えているのだろうか。(全2回の2回目。前編から読む)

弁護士の三輪記子さん ©文藝春秋 撮影・佐藤亘

3人に1人が「体罰を振るったことがある」

――三輪さんの身の回りの実感として、「しつけと称する体罰」は今でもありますか。

三輪 昔よりずいぶん減った気はしますが、友人の中にも「叩いたことがある」と言っている人はいますね。

――まさにそれを裏付けるようなデータがあります。昨年5月に厚労省が発表した調査では、過去半年以内にしつけ名目で子どもに体罰を振るったことがあるかという質問に対し、33.5%、つまり3人に1人がイエスだったそうです。

三輪 実態はそうかもしれませんよね。ただ、体罰の現場を見ることはほとんどありませんが、ごくまれにとはいえ、子どもが親の顔色をうかがっているな、と感じるときがありますし、そういうときは職業柄かもしれませんが「もしかしたらこの子は体罰を受けているのかな」と気になることはありますね。

――たしかに、面前で体罰が行われなくても、注意深く観察していれば「体罰かも?」と感じることはありそうですよね。

三輪 そうです。だから私たちが日常的に目にする範囲では起きていなくても、深く入り込んでみれば今でも暴力が飛び交っている家庭があるんでしょうね。

写真はイメージです ©iStock.com

――先ほどの厚労省の調査でも、場合によっては体罰も必要だ、と考える体罰容認派が4割を超えています。

三輪 時代が変わったようで変わっていなかったということですね。