――三輪さん自身は、6歳の息子さんに対してどんな風に接しているんですか?
三輪 体罰は一度もしたことがないですね。たとえ夫(小説家の樋口毅宏氏)を殴ったとしても、子どもは殴らない(笑)。
――樋口さんが物申したいことはありそうですが(笑)。樋口さんも同じですか?
三輪 夫は、子どもにも私にも暴力を振るったことはないですね。
「子どもに暴力を振るうのって怖くないですか?」
――三輪さん自身は小さい頃に殴られたことがあるわけですよね。子どもに対して同じことをしないのはなぜなんでしょう。
三輪 子どもに暴力を振るうのって怖くないですか? 親子ってそもそも力関係がまったく対等ではなくて、私の場合は子どもを生んだ時に「この子をいかようにでもできてしまうのか」と考えたらすごく怖くなったんです。ましてや、そんな一方的な関係性で暴力まで振るうなんて恐ろしいことだと。
――やろうと思えば、子どもを言いなりにさせることもできる。
三輪 できてしまいますよね。もちろんその方法は体罰だけではなくて、たとえば「何かを禁じる」という形のコントロールもありますよね。
――子どもは親に管理されるべきもの、という考えが根底にありそうです。
三輪 古くは漫画やテレビ、他にはお菓子やユーチューブを禁止したり……とか。いろいろ「禁止事項」はありそうですよね。もちろん、禁止すべきことがあるのは理解できますし、一定程度必要な場合もあるとは思います。私自身、全て自由、オールフリーが絶対に良い! とまでは思っていません。ですが、私には、そうやって子どもの行動を厳しく制限することはいいことだとはちょっと思えないんですよね。一方で、こんなふうに「ゆるく」考えるのは自分が年をとってから親になったからかも、と感じることもあります。もし私自身がもっと早く「親」になっていたらとても厳しくしていたのかもしれないと。
――なぜでしょう。
三輪 ひとつには、自分が若いころには、今よりももっと責任感が強いというか、子育ても義務感にかられていたんじゃないかと思うんです。それで、厳しくすることこそ「正しい」子育てだ、と思っていたんじゃないかな、と想像しています。そのとき、きっと自分の親をモデルにするだろうな、と。