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――自分の親をモデルにすると、その時代にユーチューブはなかったわけだし、悪いことをしたら体罰は当然、という感覚があっても不思議ではありません。だとすると、旧来の子育て観やしつけ観が、案外、若いお父さんやお母さんに受け継がれている可能性はありそうです。

三輪 そうかもしれませんね。逆に私のように産むのが遅いと、子育てだけではなくて、全てを疑うというか、「これまで行われてきたことが正しいとは限らない」って考えることができますよね。あとはそもそも自分が年を取っちゃって元気がなくなっているのもあるかも(笑)。

©文藝春秋 撮影・佐藤亘

――子どもを追いかけ回すような元気はないと(笑)。三輪さんの夫の樋口さんが、いざ子育てをしてみたら本当に大変で、寝ている時が一番かわいく思えたと書いていたことがあります。樋口さんや三輪さんにも、思わず手が出そうになるくらいイラッとする瞬間はあるんですか?

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三輪 イラっとすること自体はやっぱりあると思います。ただ、うちは少し特殊で、私は子どもと一緒にいる時間が短いのでとにかくかわいいんです。その分夫が家で子どもと一緒にいる時間が長いので、負担も大きいしイラッとすることは多いと思います。周りを見ると共働き夫婦でも育児負担はお母さんに偏っていることが多いですけどね。

子どもにイラッとするのはパパよりもママが多い?

――たしかに育児負担が偏ると、イラッとすることも多くなるでしょうね。

三輪 それでだと思うのですが、子どもにイラッとするのは私の身の回りの感覚としては、パパよりもママの方が多いように感じますね。男女の性差の問題ではなくて、一緒にいる時間の問題なんだと思います。だから、女性はイライラしやすいんだ、とかいう言説は腹が立ちますね。

写真はイメージです ©iStock.com

――樋口さんは、お子さんが泣いていたり言うことを聞かない時はどうしているんでしょう。

三輪 夫は、子どもが泣きながらジタバタしたり言うことを聞かなかったりする時は、その姿をカメラで撮って記録しています。

――えっ、写真を?

三輪 カメラというフィルターを1枚挟むと冷静になる、と言っていました。泣いている子どもと自分を客観的に見るのに、写真を撮るという行為が役に立つんでしょうね。最近は子どもが小学生になり、泣いている姿やぐずっている姿を撮られること自体をイヤがる自我が芽生えてきたので、だいぶ撮る頻度が減ってきたようですけど。写真も撮り方によっては子どもを傷つけるでしょうし、気をつけなければならないと思いますけどね。