「自分の知らない世界がここにあった!」みたいな
市川 高校進学は考えていなかったものの、学校に入ってみると、楽しかったんですよね。
私、小さい頃から、同じ地域の子としか交流してきていなかったんですよ。もちろん中学校は、他の小学校から入ってくる人もいたんですけど、結局、幼稚園で一緒だった子が、また再集合するみたいな地区で。見知ったコミュニティでしか暮らしてきていなかったんです。
高校で初めて、関係性がゼロの状態から友達をつくって、それがすごく楽しくて。
「自分の知らない世界がここにあった!」みたいな感じっていうんですかね。生まれが違ったり、育ちも違ったり、そういう人たちと関係性を築けるのが楽しくて、スタートから楽しく通っていました。
――結果的に楽しい高校生活が送れたわけですね。
市川 そうですね。高校生になったので、バイトも始めて、それもいい思い出です。
――どんなバイトをされていたんですか?
市川 最初はファミレスで半年くらい働いて、そこから、高校生らしいっていうんでしょうか、「もう少し時給のいいところないかな~」と考えて、チェーン店の居酒屋でバイトを始めました。
そういう環境もあって、バイト先の人達は年が近い人が多くて、すぐにすごく仲が良よくなって。中学から高校に上がったときに、これまで知らなかった世界の人達と知り合えた喜びと同じで、学校という枠組みの外の人たちと知り合えて、また別の世界を見られたのが何よりも楽しかったです。
楽しすぎて、部活もしながら週5くらいで働いてましたね。部活終わって、バイトに行って、ギリギリまで働いて。
――部活もしながらバイトにも励んで、となると、とても忙しい日々だったでしょうね。
市川 そうですね。そんな毎日を送りながら、3年生になる頃には、大学受験のことを考えなければいけなくなって……。
勉強は嫌だったんですけど、高校受験のときと同じような流れで、親から「お前どうするんだ?」って言われて、「わかりました、じゃあもう行きます!」という感じで受験を決意しました。
――なるほど。ここまで話を伺っていると、高校・大学の進学など、人生の転機ともいえるタイミングで、ご家族の意向が大きく影響してきたんですね。
市川 はい、その頃の私は「こうやって生きていきたい!」と決めるわけではなく、のらりくらりとしていたんだと思います。