1年以内、つまり2023年にはプラチナバンドを割り当てることができると主張する楽天モバイル。一方で、現在それらはすでに大手3キャリアが使用しているため、もし移行する際は技術的なハードルもある。そうしたことから、NTTドコモは10年、KDDIは7年ぐらいかかるのではないかと反論している。
NTTドコモの井伊基之社長は「周波数の最大利活用に関しては賛同している。しかし、既存のユーザーをどう移行していくのかの具体的な道筋、それにかかるコストをどうするのかのリアルな話を詰めていかないと結論が出ないのではないか」と慎重だ。NTTドコモやKDDI、ソフトバンクにすれば、いま使っている電波を奪われる恐れがあるのだから、反発するのも無理はない。
描かれる「青写真」と楽天モバイルの行方
実は楽天モバイルは、国内で通信事業を手がけているだけでなく、自社で開発してきた携帯電話事業者向けのシステムを、海外の携帯電話会社に販売するという事業も展開している。しかも、これが「すでに数千億円規模の売り上げが立とうとしている」(三木谷会長)というのだ。
三木谷会長は「楽天モバイルは赤字が出ているが、ある意味、海外事業のマーケティングコストのようなものだと思っている」と語っている。
世界の携帯電話会社に「儲かるシステムを楽天から購入したい」と思わせるには、楽天モバイル自体が黒字化していなければ説得力が無い。
ゼロ円プランを廃止し、KDDIとのローミング契約の終了を早め、さらに海外事業で数千億円規模の売り上げが立てば、楽天モバイルは一気に赤字体質を脱却し、楽天グループのなかでも優良な事業に生まれ変わるかも知れない。
その分岐点は、確実に迫っている。