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 三木谷浩史会長は「自前のエリアが増え、KDDIからの回線を借りる費用が減っていく。この1~3月期が赤字の底になる」という見通しを示している。

 楽天モバイルは当初、2026年ごろ、全国人口カバー率96%の達成を計画していたが、これを4年前倒しして2022年4月には人口カバー率97.2%に到達した。自前のネットワーク建設を急いだのも、KDDIへのローミング費用の支払いを少しでも早く減らしたいからだ。

 KDDIの決算資料を見ると、2022年度は楽天モバイルからのローミング収入が一気に減る見込みなのが読み取れる。一方、楽天モバイルは今年中には人口カバー率99%の達成を目指すとしている。つまり、今年中にはKDDIにローミングする場所が一気になくなると思われる。

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 現在、楽天モバイルが全国で使えるのはKDDIのネットワークに依存しているからに他ならない。このローミング契約が打ち切られたときに、「地方でつながらない」ということが起きる可能性もゼロではない。

 赤字の根源であるローミング契約を終了させることで、楽天ユーザーのネットワーク品質への不満の声が高まることも予想されるのだ。

楽天の画策する「ウルトラC」

 しかし、KDDIへのローミングを打ち切っても、ユーザーの不満にならないような「秘策」を楽天モバイルでは準備している。山間部やビルのなかなどでもつながりやすいとされる電波である「プラチナバンド」を取得できるよう総務省と水面下で交渉しているようだ。

 現在、楽天モバイルにすぐに割り当てられるプラチナバンドなど存在しない。これを新規参入でプラチナバンドの割り当てがないことは競争上不利であり、競争の条件が整うことで、携帯電話料金の市場価格をより押し下げることが出来ると訴えている。

 楽天モバイルとしてはNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが使っているプラチナバンドの一部を一度、国に返してもらい、それを楽天モバイルに1年以内に再割り当てしてもらうという「ウルトラC」を画策しているのだ。