当初、楽天モバイルは6000億円程度で全国のネットワークを整備しようとしていた。しかし、それでは足りず、いまのところは1兆円規模にまで設備投資額が膨らむなど、想定外の出費が続いている。
“狙い撃ちにしてきた”ahamoと「無茶な料金設定」での対抗
三木谷会長は、常々「2023年には単月黒字化できる」と豪語してきた。
2022年も、もうすぐ6月。2023年まであと半年になろうとしている。楽天モバイルはあと1年半の間に是が非でも単月黒字化を達成しなければならない。
そもそも、この約束は、過去に提供された料金プランの時に発表されたものだ。当時は、2980円で無制限の使い放題というワンプランしかなかった。このとき、三木谷会長は「損益分岐点は700万件」とも言っていた。
しかし、2020年12月にNTTドコモがahamoを発表し、20GBで3000円程度という料金設定で、楽天モバイルを狙い撃ちにしてきた。結果、楽天モバイルは2021年1月に新料金プランを発表。1GB以下はゼロ円という破れかぶれな料金設定でなんとか首の皮一枚、つながった。だが、このときの無茶な料金設定により、ゼロ円で回線を維持したいというユーザーが殺到した。
2023年までのタイムリミットが迫る中、“1円も儲けにならないユーザー”を抱えコスト要因となってしまっていた。結果、1年ちょっとで値上げという方向転換を余儀なくされたのであった。
三木谷会長が約束した「2023年の単月黒字化」を達成するには、もうひとつ“切り捨てなければいけないもの”がある。KDDIとのネットワークローミング契約だ。
ローミングが終了するとどうなる?
楽天モバイルは全国でサービスを提供する際、自分たちで基地局を立てられていないところはKDDIのネットワークを間借りしてきた。その費用も年間800億円程度で、この費用が重くのしかかっており、いつまでも赤字体質を脱却できてない。