ANAの社員がパイロットの胸章やボーイング777の社外秘資料など多くの社内備品を持ち出し、フリマサイト「メルカリ」で売却して多額の利益を得ていたことが、「週刊文春」の取材で分かった。
発覚の契機は、航空マニアには垂涎ものの品々が異様なハイペースで「メルカリ」に出品されていることに、航空グッズ収集家のA氏が気付いたことだった。A氏が語る。
「出品者は“けんけん”と名乗るユーザー。大阪在住の20代で過去に集めたコレクションを整理している……という触れ込みでしたが、コレクションという割にANAの品ばかり出品しているのも不思議でした」
航空会社の関係者によれば、
「肩章やウイングマーク(操縦士に貸与される胸章)は試験合格時に手渡される、いわばパイロットの証です。個人IDが縫い付けられており、簡単に外部に出回るものではありません」
けんけんの出品は昨年頃から重ねられ、その数は100点以上。売却額は合計200万円以上になる。それだけではない。
「ボーイング777の飛行機運用規程というANAの社外秘文書までもが6万円で出品されていました。しかも『再入荷』と書いてあり、以前も売っていたことをうかがわせる。以前けんけんと取引した別の収集家は、すでにB787の同規程を入手していました」(A氏)
運用規程の流出に問題はないのか。航空ジャーナリストの北島幸司氏が語る。
「規程によっては、例えば操縦室の解除キーの場所や緊急時装備品として搭載する酸素ボンベなどハイジャック犯に使われると危険物となりうるものの情報も含まれます。厳重に管理すべきなのは間違いありません」