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猪木VSアリ戦は本当に“凡戦”だったのか?
“世紀の一戦”から38年という長い歳月が経過した2014年(平成26年)6月26日、この試合のノーカット版DVDが発売された。中学3年生だったぼくが観た試合と50代になったぼくが観た試合は、あたりまえといえばあたりまえのことだけれど、まったく違ったものだった。3分×15ラウンドは長くも短くも感じられる濃密な時間だった。猪木とアリはほんの一瞬たりとも相手から目を離すことなく闘っていた。アリのセコンド陣の悲鳴にも似た怒号の数かずを集音マイクがしっかりと拾っていた。
そこに映っていたのは、真剣勝負とはこうならざるをえない、という真実の映像だった。
この試合から7年後、ジャイアント馬場はエッセー集『たまにはオレもエンターテイナー』にこう綴った。
猪木たちはこれまで、オレのことをなんだかんだと、いろいろいってくれました。オレとモハメッドアリが、彼らによって、最高の宣伝材料にされていたようですね。
猪木とアリが、いったいなにをやったのか。他人事ですから、オレはなにもいわなかったんですが、あの後しばらくは、外にでるのも恥ずかしいような気持ちになったのは事実です。