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“小型犬ならでは”の利点も

 公開訓練試験で高等訓練資格をパスしたアンズは、15年、警察犬の審査(足跡追及)に一発合格。その後は毎年審査をクリアし、警察犬としての出場は数十回を超え、茨城県の警察犬において行方不明者などの発見者数でトップクラスを誇る。

足跡追及の訓練をする鈴木氏とアンズ。ケンタッキーフライドチキンが大好物

「最近はアンズのご指名も多いです。でも、ここまで来るには時間がかかりました。なかなか信用されなくて。7犬種とトイプードルの一番大きな違いは持続力。でも、持続力の伸ばし方さえ知っていればなんぼでも伸びる犬なんです。アンズが捜索した最高距離は2回の休憩を挟んで隣町まで数キロ。シェパードとそう変わりませんよ」

 小型犬ならではの利点も勿論ある。

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「80代の女性が自宅そばの空き地で血を流して亡くなる事件がありました。自宅の茶の間にも血痕があり、警察は殺人か事故か調べてほしいと。シェパードのグレンを空き地から辿らせると、自宅の茶の間に面した庭で止まりました。次にアンズに辿らせると、道の血痕を見つけたんです。小さくて鼻が地面に近いので、グレンが見逃した一滴くらいの血にも反応したんですね。しかも、さらにゴミ収集場の血痕も見つけ、女性がゴミ捨て場で頭を打ち、一度自宅に戻ったものの、助けを求めて外に出て、空き地で力尽きたことが判明したんです」

 アンズと鈴木さんの奮闘は『警察犬になったアンズ』『警察犬アンズの事件簿』などに書籍化。今年4月からは文部科学省検定済高等学校英語の教科書にもその物語が記されている。

左はグレン。アンズの子・エリーとエディも警察犬に

※警察犬には2種類あり、「直轄警察犬」は各都道府県警察が、「嘱託警察犬」は一般の人が飼育・訓練する犬を指します。「嘱託警察犬」の任期は1年で、毎年各都道府県警察が行う審査会に合格する必要があります。警察犬の9割を「嘱託警察犬」が占めています。この特集で紹介したのは「嘱託警察犬」として活躍する犬たちです。

撮影 深野未季

その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。