Q 沖縄返還50年…国際的に「返還」はよくあることなの?
沖縄が日本に返還されて、今年で50年になりました。私は職場に沖縄出身の人がいるので、テレビのニュースを見てもふと気になってしまいます。
今は特にロシアがウクライナに侵攻しており、すでに占領された領土もあると思うのですが、仮にこのまま戦闘が停止されても、占領された領土のウクライナへの返還は大変そうだなと感じてしまいます。国際的に見て、沖縄返還はレアケースだったのでしょうか。(20代・男性・会社員)
A 「平和裏の返還」は…
アメリカが沖縄返還に応じた背景には「大西洋憲章」があります。これは1941年にアメリカとイギリスがまとめたもので、この中に「アメリカとイギリスは領土拡大を求めないこと」「関係国の国民の意思に反して領土を変更しないこと」という内容が含まれていました。
アメリカは太平洋戦争によって日本を占領した後、サンフランシスコ講和条約によって占領を終結しましたが、軍事的な理由で沖縄の占領を続けていました。でも、「領土拡大」を求めないことになっていましたから、いずれは日本に返還せざるを得ない立場にいたのです。もちろん、そこには返還を実現しようという日本政府や沖縄の人々の熱意があってアメリカ政府を動かしたのですが。
こうした平和裏の返還は世界的に見て珍しいものです。ロシアはいまだに北方領土を返還しようとしませんし、ドイツ領だったケーニヒスベルクを第二次大戦で占領した後、ロシア領のカリーニングラードにしてしまいました。
ただ、香港に関しては、香港島と九龍半島南部はイギリスへの永久割譲で、その北の新界は99年間の租借でした。1997年に返還の義務があったのは租借した部分だけでしたが、イギリスは、新界の返還に伴い、香港全域を中国に返還しています。