現在、「ラジオの帝王」といえば伊集院光だ。本人はそう言われることを嫌がっているがそのことに異論を挟む者はいないだろう。だが、インタビュー等を含め、ラジオ以外でラジオのことを彼が語るのは滅多にない。ましてや「テレビで喋るのドキドキする!」と言うようにテレビでするのは異例。それが実現したのが『証言者バラエティ アンタウォッチマン!』(テレビ朝日)だ。サンドウィッチマンとアンタッチャブルがMCを務める『お笑い実力刃』が4月からリニューアルされた。前身番組もバカリズム、ナイツ、中川家など一組の芸人を特集するマニアックな番組だった。リニューアルされ、その濃さが薄まるかと思いきや、躍進する事務所「グレープカンパニー」や吉本興業の若手芸人の主戦場「よしもと漫才劇場」を特集したりと、お笑い専門誌顔負けのマニアックな方向に舵を切っている。

伊集院光 ©文藝春秋

 そして今回、2週にわたり特集されたのが「芸人ラジオ」。そのスタジオゲストが伊集院だったのだ。VTRゲストには爆笑問題、おぎやはぎ、オードリー、三四郎、ハライチ。そんな中でやはり際立ったのが伊集院のコメント。何より伊集院が自分の番組以外の話をするのが貴重。例えばナインティナインについて、自らハガキ選びまでする彼らのラジオを「自分たちは叩き上げだから負けたくないという思いはあるんだけど、むしろ今考えると異常なスケジュールの中、ナイナイはラジオをやっていた。よほどのことがない限り生放送でやるって決めて、あの年月、スターのままクオリティの高いラジオをずっとハードスケジュールの中やっていくのはちょっとヤバい。レベルが違う」と絶賛。

 オードリーについては、彼らを見出した放送作家の藤井青銅が自分に「ラジオを教え込んだ人」でもあると明かした上で「その人の基礎の叩き込み方がすごくて、かつオードリーの才能がすごいから弾けている」と分析。さらには昨今増えているラジオイベントに対し「バブルの時は規模がめちゃくちゃのラジオイベントがたくさんあった。俺、東京ドームでラジオイベントをやったことがある。来てるゲストも豪華でブルーハーツがライブをしたりしていた」と自身の経験を語った上で、「景気が悪くなるとちゃんとラジオリスナーの力を借りて、リスナーも喜んだ上に、お金も循環させたいっていう意識ができるからイベントも増えていく」と話すなど、さすが「帝王」、ラジオのあらゆる話題に一家言持っている。

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 爆笑問題が「ステイゴールドだっけ?」とハガキ職人の名前を挙げた、普通の番組ならカットしそうな場面を流すところにもスタッフのテーマに対する真摯さが窺える。だからこそ、伊集院の貴重な証言の数々を引き出せたに違いない。

『証言者バラエティ アンタウォッチマン!』
テレビ朝日系 月 23:45~
https://www.tv-asahi.co.jp/antawatchman/