古墳を尻目に歩いて行くと道幅が狭くなってきて…
三条通りを歩いて行くと、北側に開化天皇陵なる古墳があった。宮内庁が管理していますよ、と看板にもしっかり書かれている。開化天皇は第9代。いわゆる“欠史八代”のひとりで、つまるところどんな天皇だったのか、そもそも実在したのかどうかも含めてよくわかっていない伝説の天皇だ。
とすると、この古墳も本当に開化天皇の御陵なのか確かなことは言えないはずだが、宮内庁はそういうことにしている。なのでそれに逆らうつもりはさらさらなく、むしろこうして市街地の中に天皇陵があるというあたり、さすが奈良、古代ロマンの地、と思うのである。
開化天皇陵を眺めて少し気持ちを落ち着かせ、そのまま三条通りを東に向かって歩いてゆく。徐々に道幅が狭まってくると同時に人通りも増えてきて、角にカレーのココイチがある交差点はスクランブル。だいたいスクランブル交差点は都市の中心、へそのようなものだと思っているので、ここからがいよいよ奈良の中心なのだろう。
行き交う修学旅行生たちと「いかにも奈良っぽい街並み」
南北には細い路地のような道がのび、東向商店街や餅飯殿センター街といったアーケード付きの商店街とも交差する。南に伸びる餅飯殿センター街を進んでどこかで東西に折れれば和風の建物が並ぶ昔ながらのいかにも奈良っぽい街並み。東向商店街を北に進めば近鉄の奈良駅だ。
もうこのあたりは人通りも多く、観光客から地元の人までたくさんの人が行き交っている。そして何より目立つのは修学旅行生だ。
修学旅行生についていくようにして三条通りをさらに行けば、正面には興福寺の五重塔が見えてきて、奈良公園の猿沢池。
お目当ての鹿さんが活動しているのはこのあたりからで、たくさんの観光客がいたところで何にも気にせず草を食む。市街地や商店街の方に彼らがやってこないのは、頭がいいからなのだろうか。
ともあれ、JRの奈良駅からまっすぐ三条通りを歩いてくるだけで、奈良の中心市街地を抜けて奈良公園、興福寺、そしてその先の春日大社へと行くことができるというわけだ。三条通りはまさに奈良の町の背骨といっていい。