返済日の12月23日「翌日には必ず振り込む」と言い残して
そして、返済を約束した2020年12月23日夜、高橋容疑者は名古屋市内のホテルに姿を現す。
「結局、まとまった金額の返済は難しいので、その日は50万円だけ先に返すという約束をしていました。ただ、会うなり高橋の様子がいつもと違うんです。自分と目線を一度も合わせようとしない。高橋は『今、仕事の関係者が米原から車で現金を持って来るので待って欲しい』と言いました。『振込でもいいですよ』と言ったのですが、『裏でやっとる領収書が切れないような金なんや』と。ところが、しばらくたつと高橋は『電話がつながらんくなりましたわ、おかしいな』と演技をしはじめました。
『私も今日はとことん終電越えても待ちますんで』というと、観念した様子でタメ口になり、『いつまでわしは待たなあかんのや』と言い始めました。ずっと不満そうにキャスター5mgを吹かしていた姿を覚えています」(同前)
「携帯見たらAさんの名前が偶然目に留まった」「弟子なんかおらんわ!」
金を借り始めた当初、高橋容疑者は「仕事の付き合いがある財界に、金を借りて弱みを握られたくない」とAさんから金を借りる理由を話していた。だが、この日は急に心の内を正直に話し始めたという。
「時間があったので『なんで俺をカモにしたんですか』と聞いたんです。すると『携帯見たらAさんの名前が偶然目に留まったから』と冷ややかに言われました。弟子の話も振ってみると、『弟子なんかおらんわ!』と。
過去に自分が言った嘘も、もう覚えていなかったのでしょう。これだけ吹っ切れた高橋の態度には違和感がありましたが、『翌日には必ず振り込む』といって結局、終電過ぎに帰っていきました。これが高橋を見た最後の姿です」(同前)