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クリスマスの夜、弁護士事務所から届いた衝撃の手紙

 この“違和感”は2日後の25日、的中することになる。

「金を返すどころか、25日に届いたのは弁護士事務所からの自己破産を告げる手紙でした。年末にはさんまさんを呼ぶ引退落語ショーに招待するとか、有馬温泉に招待するとか、調子のいいことを言っていましたが、自己破産とは予想外過ぎる最悪のクリスマスプレゼントでした。

高橋容疑者が借金の御礼でAさんに送ったメール Aさん提供

 後に聞いた話では、私のもとに手紙が届いた1週間前…つまり私と最後に会った日の数日前に、高橋は弁護士事務所を訪れて自己破産の相談をしたようです。このまま逃げ切れると思って、最後に会った時は吹っ切れていたのでしょう。

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「金を騙し取られた」と名乗り出る人が他にも続出

 高橋は『金を借りとるのはあんただけや』と言っていましたが、自己破産の手紙からたった10日ほどで20人ほどが『金を騙し取られた』と弁護士のもとに名乗りでたようです。私は約1000万円を高橋に貸していましたが、その時点で他にも2000万円の借金があることが判明しました。債権者の数は、今後まだまだ膨らむのではないでしょうか。

 最近知りましたが、私とは別の被害者で、高橋と知り合ったその日に金を貸した人もいたようです。普通ではありえませんが、それぐらい口がうまい。事実、金に困ってはいましたが、今思えば『口の達者さだけでどこまで金を集められるか』という腕試しをしていたようにも思えるんです。いつも借用書を書くノートと筆記用具を持ち歩いていたので、手馴れているんだなと思いました」(同前)

 翌2021年2月、Aさんは愛知県警に被害届を提出し、今回の逮捕につながった。

借用書の住所にある岐阜の高橋容疑者の自宅 Aさん提供

 後に、Aさんが貸した金は“イベントの準備金”に使われることはなく、他の債権者への返済に充てられていたことが判明。借用書に書かれた岐阜の住所からは雲隠れし、名古屋市内の月4万4000円のアパートに隠れ住むというひっそりとした生活を送っており、高橋容疑者の家計は文字通り自転車操業だったようだ。